ブックタイトル会報2020年10月
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会報2020年10月
第208号 令和2年10月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター天川 淑宏 [理学療法士]「新しい生活様式」で運動療法は何をすべきか“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANO a MANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題 4METsに相当する身体活動として正しいのはどれか、2つ選べ。 (答えは2ページにあります)1.自転車2.子供と遊ぶ3.軽いジョギング4.エアロビクス5.階段昇降「新しい生活様式」では、長期間にわたって感染拡大を防ぐために、飛沫感染や接触感染、さらには近距離での会話への対策を、これまで以上に日常生活に定着させ、持続させなければなりません。また、新型コロナウイルス感染症は、無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例があります。新型コロナウイルス感染症対策には、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないことが不可欠です。そのためには一人ひとりの心がけが何より重要です。具体的には、人と身体的距離をとることによる接触を減らすこと、マスクをすること、手洗いをすることが重要です。市民一人ひとりが、日常生活の中で「新しい生活様式」を心がけることで、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種の感染症の拡大を防ぐことができると考えます。(厚生労働省のホームページより、一部改変)このようなコロナ禍において糖尿病患者の身体活動への影響は如何なる状況であるか。 当医療センターでは、毎週水曜日に「からだを知る運動療法教室」を開講していたが、今年3月より休講が続いている。教室の登録患者は約160名で開講日には平均40名程が参加していた。緊急事態宣言解除後に感染者数減少の頃から教室再開や運動への問い合わせが寄せられるようになった。再開は難しいとの返答しかできない。しかし、スポーツ庁も新しい生活様式の在り方とコロナ禍の健康二次被害として、1日当たりの歩数が減少、座位時間が長くなり血流の悪化や血栓ができるリスクが上昇する、などを警鐘している。このようなコロナ禍で患者の不安に対応するため当科では個別運動相談を予約制で行うこととし毎週金曜日午前9時~午後4時まで1人30分間の外来指導を行っている。相談は様々であるが「筋力が落ちて…」「歩かないと…」の2つが共通する内容であった。前者は、腰痛や膝痛など運動器の不調に対する運動療法は、面談指導のみでなく「新しい生活様式」での運動指導ニューノーマルとしてこれまでのペーパーテキストからオリジナル動画を制作。患者個々に実践してほしい運動のみを自宅で再生機器がある患者にはDVDで提供している(図1)。また、後者は、教室参加者は活動量計を使用しているので昨年と今年3月~6月の1日平均総歩数を3群[A平均8000歩/分、B平均6000歩/分、C平均4000歩/分]で調べた(図2)。全て平均で歩数は約2000歩/日減少3.0Mets以上の運動時間は約15分減少していた。この結果を参考に、患者へのアドバイスの1つとして、ウォーキングで免疫力や感染に対する抵抗力を高めるには短時間でModerateレベルが良い1)。Moderateなウォーキングは、1分間で110~120歩となるペースで1日トータル20分間が行えれば充分!糖尿病療養指導には、コロナ禍でも患者一人ひとりが「これならできる」、と心が動く指導に取り組んでいくことが、欠かせないと思う。1)Nieman,Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system 1994 Med Sci Sports Exerc 26 : 128-139図2 歩数と運動時間図1 オリジナル動画例作