ブックタイトル会報2020年11月
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会報2020年11月
第209号 令和2年11月発行 Page 3臨床糖尿病支援ネットワークり状態や認知症であり、死因の第一位は癌などの悪性腫瘍です。また糖尿病は食事療法や運動療法とともにインスリンなどの自己注射などの自己管理が重要ですが、これらを実行し難い環境があることも事実です。また糖尿病患者は甘い物を食べてはいけないとか、不節制が原因であるかのようないわれなき偏見や、糖尿病は生命保険に入りにくいとか、就職も不利になることがあるなど、残念ですが差別があるのも事実です(これらをstigmaといいます)。今回の新しい糖尿病治療ガイドは、糖尿病という疾患そのものによる合併症の発症予防や進展防止だけではなく、これらの多くの併存症やstigmaに対応すること(advocacy)を含めて対応することが、患者の「人生」そのものを健康人と変わらないものとするのだということを目標としました(図2右)。個々の患者の「病態」に合った治療法の選択から、個々の患者の「人生」にあった治療法の選択へと大きく変わってきました。これが「病」を診るから「病を持った人」を診るということです。そしてもう一つ患者のQOLや人生そのものにかかわるstigmaをどのように打破していくのかを考えていくことも求められています。1型糖尿病の子供がなぜ糖尿病であることを人前で言えないのだろうか、どうして糖尿病警察に尋問されなければならないのだろうか、なぜ糖尿病であることにより就職や様々な社会生活に制限や差別があるのだろうか。さまざまなstigmaを防いでいくこともわれわれ糖尿病にかかわる医療者の使命であると思います。この解説シリーズの後半では食事療法や薬物療法がどのように変わってきたかを解説する予定です。会員の皆さんも「糖尿病治療ガイド2020‐2021」をぜひ読んでみてください。そして病を診ることから病を持った人を診るための考え方や技術を学んでもらいたいと思います。今回の特別企画では、「糖尿病治療ガイド2020-2021」で大きく改訂されたポイントについてエキスパートの先生に詳しく解説していただいています。全3回シリーズでお届けします。糖尿病診療に携わる全ての方々に役立つ情報ですので、是非お役立てください!答え 2,5 下記の解説をよく読みましょう。 (問題は1ページにあります。)解説 糖尿病神経障害では自律神経も多発性に障害され、進行すれば障害部位によって多 彩な症状を呈する。発症・進行のリスク因子には①血糖コントロール不良、②糖尿病罹病期間、③高血圧、④脂質異常、⑤喫煙、⑥肥満などがある。日常生活を障害する場合には症状に応じた薬物による対症療法が必要となる。交感神経障害があると動悸や発汗などの低血糖症状が乏しくなり、突然意識障害に陥ることがあるため注意が必要である(無自覚性低血糖)。2.× 副交感神経ではなく、交感神経障害による末梢血管の収縮障害が生じると起立時に低血圧となる。5.× 胃無力症に対して消化管運動調節薬、下痢に対して止痢薬および乳酪菌整腸薬、便秘に対して緩下剤を使用する。読んで単位を獲得しよう