ブックタイトル会報2021年1月
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会報2021年1月
第211号 令和3年1月発行 Page 3臨床糖尿病支援ネットワーク<定期受診における薬剤調整と指導>症例7残薬チェックでまずは内服のアドヒアランスを確認します。個人的には外来の処方の際に「災害用のストックが7~10日分ありますか」と聞きながら、1か月以上余った段階で残薬調整していますが、その頻度が多ければ内服アドヒアランスが落ちていることが推測できます。薬価を気にされている場合は、禁忌でなければまずはメトホルミンを使うようにしています。初診時のHbA1cが10%以上でも、生活習慣への細やかな介入によりメトホルミン500~1000mg/日でHbA1c<6.5%まで改善できる現役世代の男性が少なくないことを、3か月に1回から月1回の外来に切り替わってから実感しています。症例8重い労作の場合は、休みの日の活動量の評価も必要です。SU薬の中止によるHbA1cの上昇に抵抗感を示す方もおられますが、HbA1c 5.8%まで低ければ本人が低血糖はないと申告していても、甘いものを食べたくなる時間帯があり間食で低血糖を防いでいる場合には、SU薬の中止によりその回数が減って、結果的にはHbA1cはそれほど上がらないことも多いです。症例9薬剤変更の前に、低血糖発作の起こりやすい時間帯を確認します。食後比較的早く起こる場合には、炭水化物の減らし過ぎがないか確認しましょう。症例11認知機能が正常であるので、今まで1日のエネルギー摂取量を1400kcal程度といわれていたとすれば、1700 kcalの提案には抵抗感を覚えて返事は良くても実行されない場合や実際に食べきれない場合もあり、増量の意義の丁寧な説明が必要になります。また罹病期間15年のベテランにつき、HbA1c の目標値のアップにも抵抗感を持たれることが多いですので、こちらも十分な説明が必要です。症例12この1年半でグリメピリド3~6mg使用中で本例よりも高めのHbA1cの患者を数多く引き継ぎましたが、毎月グリメピリド6mg、4mg、2mg、1mg、グリクラジド20 mg、10 mgと減量してもHbA1c 7%台をキープし、潜在性低血糖の減少により体調の改善を認める症例も多くみられました。朝食後採血でPPGが高ければ、レパグリニド0.25mg朝・夕各1錠も選択肢に入れていますが、比較的強い薬につき朝と夕で始めることが多いです。セカンドミール効果が強ければ昼は内服しなくても済みますが、一度は昼食後血糖値もチェックしたいところです。いずれにしてもDPP-4阻害薬の併用でSU薬の減量・中止を目指しましょう。症例13このような症例の場合に糖尿病連携手帳の存在が重要で、精密検査の依頼時も含め他院受診時には必ず担当医に提出する習慣を身に付けてもらいましょう。体重も実測値を常に記載していれば、体重減少にすぐ気付けます。今回の特別企画では、「糖尿病治療ガイド2020-2021」で大きく改訂されたポイントについてエキスパートの先生に詳しく解説していただいています。全3回シリーズでお届けします。糖尿病診療に携わる全ての方々に役立つ情報ですので、是非お役立てください!