ブックタイトル会報2021年2月

概要

会報2021年2月

第２１２号 令和３年２月発行 Page 1臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター松下 隆哉 [医師]新型コロナウイルス感染症?約1年たって?“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士（ＬＣＤＥ）は、更新のために５年間において５０単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「ＭＡＮＯ ａ ＭＡＮＯ」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、１年につき２単位（５年間で１０単位）を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。（「問題」は、過去のＬＣＤＥ認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。）問題 食事療法に関する患者の発言のうち「効力予期」が低いのはどれか、２つ選べ。１．「食うなと言われれば食べないでいられますけど、どこも体調は悪くないのでね」２．「食事が大事なのはよくわかっています。でも、どうしても間食がやめられなくて…」３．「食事に気をつけたら血糖も下がってきたし、これなら続けられそうです」４．「どうせ糖尿病は治らないんだし、こんな食事じゃ腹が減ってがまんできないよ」５．「言われたとおりに食事は守ってるのに、血糖はちっとも下がりやしない」このMANO a MANO巻頭言は締め切りの2021年1月7日に書いています。WHOから中国・武漢で2019年末に発見され、わが国でも感染第一例が2020年1月に報告されています。本日1都3県で緊急事態宣言が出されます。本日1月7日にGoogleのCOVID-19 感染予測(日本版)をみてみると東京都は陽性者数は、1月19日がピークで約5600人、その後減り続け、2月1日約3700人で、死亡者数は現在一日3-5人ですが、右肩上がりに増え続け2月1日208人となっています。このMANO a MANOが発行されるのが2月1日ですから、この予想が裏切られ、陽性者数や重症者が増えないことを望んでいます。さて、人間はこの地球上で生きながら、人と人、国と国との距離を縮めることによりグローバル社会となり、経済的にも発展していました。そんな中に新型コロナウイルスは発生し、容易になった人の国から国への移動に乗じて新型コロナウイルスは世界中に伝播しました。特に、グローバル社会の中心の欧米では感染がより酷いのは周知の通りです。フラットな社会を作り出して豊かさを甘受していた我々は、それに抗う手段がなく、病気や生死と経済を比較する議論を行っています。もちろん、医学もこの中進歩しております。感染症の診断にPCR検査が導入され、皆がPCR、PCRと叫ぶ世の中になりました。セントラル・ドグマを知らない人たちがPCR検査の必要性を説くのも時代が変化しているのでしょう。また、ワクチンの開発も超トップスピードで行われています。人類初の遺伝子ワクチンです。重症感染症には使用がはばかられていたデキサメサゾンが、有効な治療薬であることがわかったのも非常に興味深いです。当初WHOは、『人から人への感染は認められていない』『マスクは効果がない』などとも発表していました。WHOを非難したいのではなく、医学情報はこのようなものであるのです。『・・・ない』は、否定ではなく、まだわからないということなのが、今回の新型コロナウイルス流行でよく理解できたのではないでしょうか。ウイルスも人間と同じようにこの世に生きていますし、ウイルスがなくなる前に人がなくなるような気もします。新型コロナウイルスに勝つというのは、おこがましいとも思いますが、落ち着いて欲しいというのも本心です。コロナウイルスはほとんど、風邪ウイルスというのはお聞きになっていると思います。ヒトコロナウイルスOC43は、その変異の速度から分子時計を求めると、1890年頃に出現したことがわかっています。1889-1990年にウズベキスタンからロシアで発生したインフルエンザと考えている流行が、他のインフルエンザより流行の拡大が早く、神経系症状があることからこのOC43が原因ではないかとも言われています。この流行も2年ですし、スペイン風邪も2年です。あと少なくとも1年程度は我慢が必要なんでしょうか。さらに時間が必要でしょうか。遺伝子ワクチンがその自然史を変えてくれるでしょうか。我々、医療従事者には大変な時期です。皆様どうぞお身体を大切にしてください。医療だけでなく人類の大転換点になるかも知れません。また、お目にかかり笑って話せることを祈っています。（答えは２ページにあります）