ブックタイトル会報2021年5月
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会報2021年5月
第215号令和3年5月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですインスリン注射50周年の患者さんにインタビューしました![当法人理事]多摩センタークリニックみらい藤井仁美[医師]コロナ禍最中ではあったが、当院では某インスリン会社が毎年表彰している「インスリン注射50年賞」の受賞者を招いて、職員数人の小規模ながら、院内で受賞インタビューを開いた(その様子を録画してYouTubeで限定公開中である)。多摩地域で初の受賞らしい。3歳発症の1型糖尿病と聞いていたので、もしや?と思って本人に再確認、ぴったり50年だった!話を聞くと、旧東ドイツの出身で、15年ほど前に来日したそうだ。ヨーロッパ糖尿病学会(EASD)でベルリンに行った時のことを思い出す。森鴎外の足跡を訪ねたり、医学部の医学史(?)博物館で延々と続く臓器のホルマリン漬けに圧倒されたのを思い出した。学会発表などでドイツのインスリン療法は「重厚な」印象がある。2型糖尿病の患者であっても混合製剤などは使わず、きっちり4回インスリン強化療法をしている感じなのだ(あくまで私の印象で、真実かどうかはわからないが)。患者さんにインタビューをするうち、そんなイメージを思い出した。けがで入院した病棟で、夜中に花瓶の水を飲んでいるのを発見され診断がついた話。パンその他1gの単位まできっちり切り分けられた食事をしていたこと(日本でもアメリカでも、当時はそんなものだったかもしれないが)、体育は見学、映画を見に行っても途中で注射と食事のために帰らなければいけなかった話、そのせいで図書館に入り浸って医学書に至るまで糖尿病を勉強した青春時代。ベルリンの壁が打ち破られたのち、「国産」インスリンだけではなく、血糖測定器やディスポーザブルの注射器を手に入れ、やがてはオランダ製その他のインスリンポンプを手に入れた。ポンプ使用待機者リストの上位であった(ポンプ導入前は毎日10回以上測定やインスリン注射をしていた)。ポンプが手に入ると教育入院1か月を過ごす。その間テニスに出かけたり、ビールを飲んで帰って来てはインスリンの打ち方をほかの患者や主治医と検討する入院生活だった。インスリンポンプを自由に操るには自分で絶食試験をしたり、血糖測定をするのが必須であり、ドイツの保険では血糖測定センサーは上限なく使用できる(この場面で日本の医療制度は厳しく批判された)。代わりに毎月のログブックの提出が義務付けられている、自己モニターができない人はポンプ治療の対象にはならないのだ。ポンプ会社もクラウドができる以前から、患者の要請に応じてポンプのデータをアウトプットしながら問題点を話し合ってきた。ドイツ人気質と言えるのか…そんな話を聞きながら、「インスリンを注射して50年、疲れちゃうことはなかったのですか?」という問いに、そういう時は、「糖尿病を休む」との答え。食前に3回のボーラスと定量のベーサルインスリンが入っていれば、昏睡になったりすることはない。血糖が高くても、それをやり過ごし、のんびり生活を楽しむ日があってもいい。そんな「達人」のメッセージだった。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題糖尿病の検査について正しいのはどれか、1つ選べ。1.空腹時血糖とは6時間以上絶食させた後の血糖である2.インスリン療法中のインスリン分泌能評価には、血中IRIが有用である3.血糖が上昇すると1.5-AGは上昇する4.血糖値の変動があっても、平均血糖値が同じであれば、HbA1cは同じである5.鉄欠乏状態が回復期にある患者のHbA1cは平均血糖値に比べ高めになる臨床糖尿病支援ネットワーク(答えは3ページにあります)