ブックタイトル会報2021年6月
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会報2021年6月
第216号令和3年6月発行Page 3第55回糖尿病学の進歩令和3年3月5日(金)~6日(土)Web開催[当法人会員]東海大学医学部付属八王子病院久保麻衣子[看護師]コロナウイルス流行の終息が見えない今年の『第55回糖尿病学の進歩』も、Web開催となりました。楽しみにしていた大好きな北の味覚はお預けとなりましたが、Web開催のおかげで気になる講演やセミナーを余す所なく堪能することができました。聞き逃した所や興味のある所を、もう一度見ることができるのはWeb開催の醍醐味ですね。今回私が興味深く拝聴させていただいたのは、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポトロジーセンター田村好史先生の『効果的な運動療法を行うための指導ポイント』です。コロナ禍で来院される多くの患者さんは、「運動できない」「人と会うのが怖い」「家族から外にでるなと言われる」等と発言されるため、何かよい策はないだろうかと考えていたからです。外出自粛による影響が最も大きかったのは、やはり運動量の減少(53%減)のようです。“健康な高齢者が2週間家の中であまり動かないようにすると、下肢の筋肉量が3.7%減少(約3.7年分の老化に相当!)した”という報告もあるというから驚きです。糖尿病患者では…と考えると恐ろしいですね。コロナ→活動量の低下→筋力低下やメンタルヘルスの悪化→血糖コントロール悪化は、数年後にその影響が出ることも考えられます。このようなウィズコロナ時代の健康2次被害をスポーツや社会参加で予防するため、スポーツ庁も呼びかけています(※添付参照)ので、これらも活用しながら患者さんを支援していきたいと思いました。座っている時間を減らし、時間より歩数などのカウントで運動成果を可視化し、アドヒアランスを高める。信頼できる医療機関のスタッフからの声かけが、コロナ禍でも実践可能な療養行動の継続に重要かもしれません。もう1点同じ講演の中で、日本人女性の痩せについての話題がありました。“世界の先進国の中で女性の痩せの割合が最も高い”という現状に大変驚きました。肥満が糖尿病発症のリスクファクターであるのはもちろんですが、BMI18.5未満の痩せでも増加、痩せた女性の38%がIGTで、痩せた若年女性では耐糖能異常が多いようです。太りたくないという女性は多いですし、当院に転院してきた若年女性の1型糖尿病患者さんで「食べ物は爆弾と病院で言われた」「1型糖尿病患者はみんな拒食症だよ」と発言された方もいます。食事療法を伝える上で、「食べることの楽しさや大切さ」を同時に伝えることはとても大切だと私は思います。「おいしい」「楽しい」はQOLの向上に直結しますので、「食べてはいけない…」と患者さんが1人で悩まないよう寄り添っていきたいです。読んで単位を獲得しよう答え1,4下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1.非運動性熱産生(NEAT)とは、日常生活での身体活動で消費されるエネルギーをさす。1日当たりの総エネルギー消費量は、基礎代謝量(約60%)、食事誘発性体熱産生(10%)、運動性熱産生(10%)、非運動性熱産生(20~30%)に分けられる。4.運動のエネルギー消費量はMETs×体重×運動時間(h)の簡易換算式で求められる。臨床糖尿病支援ネットワーク