ブックタイトル会報2021年11月
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会報2021年11月
第221号令和3年11月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です透析人口の増加の本当に意味するもの[当法人理事]朝比奈クリニック朝比奈崇介[医師]2018年の患者調査票において、男性は21万4,000人、女性は11万3,000人で、全体の平均年齢は68.75歳でした。平均年齢は年々増加傾向を示していて、最も割合が高い年齢層は男女とも70~74歳でした。しかし一方で65歳未満の患者数は2012年から、70歳未満の患者数は2017年から減少しています。つまり、わが国の慢性透析患者数の増加は、70歳以上の患者数の増加によるものであることがわかります。今度は透析導入年齢を見てみると、導入患者の平均年齢は、男性が69.27歳、女性が71.61歳ですが、導入患者の平均年齢も年々高齢化しており、最も割合が高い年齢層は、男性が75~79歳で、女性は80~84歳でした。因みに2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性は87.45歳なので、これは透析を始めると4,5年で亡くなるとも言えますが、寿命で死ぬであろう4,5歳前に導入されていることになります。ですから透析を始めても5年未満で亡くなる方がこんなに多いのだと思います。CKD重症化予防という話はいかに透析を増やさずに、言い換えれば透析代にお金を掛けずに国民の健康寿命を延ばしましょうという話だと思います。透析は本人の負担も大きいし、税金の投入額が多いのは確かですから、そのように考えるのは仕方ないでしょう。今までは脳卒中、心筋梗塞などが致死的な疾患だったものが、血栓溶解療法、ステント、血行再建術などの医学の進歩によりそれらの疾患があっても健康に生存できるようになりました。また最後の死すべき疾患、「癌」でさえ、現在癌の治療はさらに高度になり、どんどんお金がかかるような治療になっています。でもそのおかげで人の健康寿命は延びています。ですから透析をしなければならない末期腎不全という疾病が増えたと考えるより、脳心血管疾患や癌までがある程度治療できるようになり、次なる寿命の延伸には、生存に必須の腎臓という臓器の機能の低下が透析によって可能になっているのだと思います。ただ、この方法には多額のお金がかかるということです。恐らく今後寿命を延ばせば延ばすほど透析が必要な患者さんの数は増えます。このお金は天から振ってくるものではありません。あくまでも皆さんが生活をするために得たお金から納めた税金を使っているのです。皆さんの寿命を何年延ばすために、皆さんの税金をいくら費やすのか、そしてそのために働く世代が自由に使えるお金がどの程度減るのか、それを覚悟しているのか、が問われているのだと思います。医療者に任せていては、どんどん寿命は長くなるけれど、医療費はどんどん増えていきます。医療者じゃない人も「私は医療者じゃないから関係ないわ」と逃げないで、もっとこの現実を国民みんなに伝えて、落としどころを議論した方がいいと思います。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題思春期における糖尿病療養指導について誤っているのはどれか、2つ選べ。(答えは3ページにあります)1.乳幼児期や学童期に発症した場合と、思春期に発症した場合では指導の注意点が異なる2.生理的な特徴や血糖コントロールとの関係について、十分な説明と情報提供が必要である3.恋愛によって自己管理の目標が設定され、血糖コントロールによい効果を与えることが多い4.糖尿病であることを、進学や就職にあたって積極的に公表するように勧める5.男性は摂食障害や食行動の異常が起こりやすい臨床糖尿病支援ネットワーク