ブックタイトル会報2022年2月

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概要

会報2022年2月

第224号令和4年2月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病という病名によるスティグマ[当法人理事]武蔵野赤十字病院杉山徹[医師]近年、糖尿病の臨床においてスティグマ(stigma)という言葉が注目されるようになり、糖尿病診療に携わる職種の間ではだいぶ広まってきていると思います。スティグマとは恥・不信用のしるし、不名誉な烙印というような意味を持つ言葉であり、ある特定の属性を持つ人に対して否定的な価値を付与することです。糖尿病患者さんへのスティグマとしては、自己管理ができないだらしない人だと周囲から見下されたり、就職・結婚・生命保険・住宅ローンなどにおいて不利益を被ったりなど様々なものがあります。現在は糖尿病協会や糖尿病学会を中心にスティグマ打開のためのアドボカシー活動の強化が提唱されています。そんな中、「糖尿病」は排泄物の「尿」という文字が入っていることもあり、その病名自体がスティグマではないかという考えが話題に上がっています。「糖尿病」は英語では“Diabetes Mellitus”であり、飲んだ水がどんどん尿となって出てくるという症状から、サイフォンのように通り過ぎるという意味の“Diabetes”という単語に、蜂蜜のように甘いという意味の“Mellitus”が合わさって誕生した病名です。ただし、Diabetesから始まる病名はもう一つあり、無味という意味のInsipidusという単語と合わさったDiabetes Insipidus(尿崩症)というのもあります。大昔につけられたネーミングとしては言い得て妙だと思いますが、日本語に訳して「糖尿病」という病名になると患者さんには評判が悪いようで、糖尿病協会が行ったアンケート調査では半数以上の患者さんが糖尿病という病名に抵抗があると答え、「変えて欲しい」という意見も約半数に見られたとのことです。特に1型糖尿病患者さんにとっては病名がかなりスティグマになるのではないかと個人的には思っています。(もちろん2型もですが。)過去にも「糖尿病」という病名についての議論は何度もあったようですが、現在までその病名は変更されていません。病名を変更することに関してはこれまでにも事例があり、例えば「高脂血症」は「脂質異常症」、「精神分裂病」は「統合失調症」、「痴呆症」は「認知症」に変わっています。ですので、本気で変えようと思えば変えられるのではないかと思われます。では糖尿病という病名を変更するとしたらどのようなものが相応しいでしょうか。1型糖尿病であれば「インスリン分泌不全症」など思い浮かびますが、2型の場合はなかなか難しいですね。総称としては「高血糖症候群」などが妥当でしょうか。ぴったりな病名が付けづらいのも「糖尿病」という病名が使われ続けている原因でしょうか。皆さんならどんな病名が浮かびますか?もし「糖尿病」という病名が変更になったら、糖尿病学会も糖尿病協会も当法人も組織名を変更しなくてはなりませんね。保険診療や電子カルテなどにも相当大きな影響がありそうですが、スティグマ打開に繋がるならそれも有りかなと思ったりする今日この頃です。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題現行のCGM(continuous glucose monitoring)およびisCGM(intermittently scanned continuousglucose monitoring)について正しいのはどれか、2つ選べ。(答えは3ページにあります)1.CGMはSMBGによるグルコース値の較正が必要な機種がある2.isCGMはSMBGによるグルコース値の較正が必要な機種がある3.2型糖尿病のみ保険適用となる4.isCGMは14日ごとにセンサーを交換する5.CGMは10日ごとにセンサーを交換する臨床糖尿病支援ネットワーク