ブックタイトル会報2022年4月

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概要

会報2022年4月

第226号令和4年4月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病児と関わりあって50年[当法人監事]武居小児科医院武居正郎[医師]1970年に大学を卒業し小児科医として働きだした。その年に小学5年生の女の子のケトアシドーシスの症例を担当したのが糖尿病との関わりあいの始まりです。当時はほとんどがケトアシドーシスで診断されていました。当時の小児科の教科書にはアセトン血性嘔吐症の項目には重症だと死亡例もあると書いてありましたが、1型糖尿病と診断されずに亡くなった人がいると思われます。今はGAD抗体などが陽性だと1型糖尿病と診断され、また、劇症型1型糖尿病などと診断方法も変わってきています。当時は豚や牛から作ったRとNの10mlのバイアルを自分で買って朝夕2回の混合注射法でした。今は人型となり皮下脂肪壊死や発赤は見なくなりました。持効型や超超速効型インスリンも出来ており、選択肢が増えています。注射器もガラスの注射器を自宅で煮て消毒していたものが、ディスポになり、ペン型注射器になり、ポンプになり、それもSAPにもなっています。コントロールは毎食前後の尿を取って置き夜にベネティクト法で半定量法でした。1976年に武蔵野日赤に赴任する時に大学で糖尿病外来を始めましたが、子ども達の治療にはサマーキャンプが大切と知り1982年に見学に行きました。そこではデキストロスティクスという簡易血糖測定がサンプルとして使い放題でその後コントロールの指標が自己血糖測定が一般的になり、HbA1cから今はCGMになっています。生活や食事もその人に合わせた生活を行いそれに合わせたインスリン療法となりましたが、これには自己管理を上手くしないと肥満に成ったり低血糖になったりします。糖尿病の治療には同じ病の仲間を作りお互いに励ましあう事の大切さが必要と考えます。10日間のキャンプでは子供たち仲間の連帯感は強固なものでその関係の大切さを知りました。多くの子ども達も今は立派な大人になっています。多くの子ども達が医者を始め医療職についています。上手く行っている人達はやはり治療に積極的に取り組んでいる人達です。しかし、残念ながら透析になっている人もいますし亡くなっている人もいます。太く短く生きるのだと約束を守らないグループもいましたがいろいろな合併症を持っていながら仲間に支えられています。医療者は何ができるかを考えると、サマーキャンプ、患者会や講習会の参加などいろいろな事の働きかけをしたり、この様な治療法がありますよとの紹介や、この様な治療をした方が良いのではとのアドバイスはできますがそれに乗ってくれるかどうかが問題です。アドバイスに結果がどうだったかを教えていただき、お互いに治療を組み立てて行く事が大切だという事を治療に取り組んで50年経た今しみじみと思っています。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。38歳、男性。昨年の健診で高血糖を指摘されたが放置。最近体調が優れず、ネットで調べた糖尿病の初期症状に似ていたことから不安を感じ、当院を受診したところ、糖尿病(HbA1c 7.4%)と診断。「食事は、自炊が出来ないので、外食やコンビニを利用している。以前から食事はそれほど食べていない。」、「仕事上帰りが遅いので、帰宅後は夕飯を食べたらすぐ寝てしまう」、「休日に運動を頑張ろうと思っている」ということだった。【身体所見】身長170cm、体重90kg。血圧142/78mmHgこの患者への療養指導として正しいのはどれか、2つ選べ。1.減量のために、少なくともエネルギー摂取量の約20%程度の運動をすすめる2.減量のために、エネルギー係数は身体活動レベルより小さい係数を設定する3.食事はそれほど食べていないという本人の話を尊重し、運動療法を中心に指導する4.合併症予防のため、外食や中食でも食物繊維が1日10g以上とれるように指導する5.まずは3%の体重減少を目指し、体重の経過を記録させる臨床糖尿病支援ネットワーク