ブックタイトル会報2022年7月

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概要

会報2022年7月

第229号令和4年7月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですHbA1cかGAか[当法人理事]吉元医院吉元勝彦[医師]前回、「HbA1c再考」という題で巻頭言(第185号)を書かせていただきましたが、あれから4年、当院における検査割合はいつの間にかHbA1cよりグリコアルブミン(GA)の方が多くなってしまいました。以下にいくつか理由を述べさせていただきますので、少々お付き合いください。まず、当院は一般内科を標榜していますので、糖尿病以外で受診される患者さんも多く、健診等でHbA1cの指定がない限り、耐糖能のチェックはほぼ全例GAで行うようにしました。何故ならHbA1cはあくまで過去1?2ヵ月の平均血糖を表しているものであり、血糖の日内変動など細かな変化を把握することが困難な一方、GAはCGMを用いた解析から血糖変動を捉えている可能性が示されており、耐糖能をチェックする場合、HbA1cよりGAの方がより早期に異常の有無を感知できる可能性があるからです。実際、GAと1,5-AGを同時測定してみると、GAが15.0%(基準12.3?16.5)を超えるあたりから1,5-AGが低くなる例が散見されるようになり、そういう方には動脈硬化のリスクについて説明し、耐糖能の悪化を防ぐ工夫をお話しするようにしています。ちなみにHbA1cでは5.5%を超えるあたりの症例となります。次に糖尿病の患者さんは基本的にはHbA1cで管理しています。しかし、貧血や腎機能障害を有する例、さらにはヘモグロビン異常症が疑われる例については積極的にGAを同時測定するようにしています。特にCKDで貧血を伴う場合、GAと対比するとHbA1cは偽低値を呈することが多く、そのままHbA1cで管理しているとコントロールが緩くなってしまい、腎機能低下を早める一因になる恐れがあるので注意しています。また、高齢者でHbA1cとGAで乖離がある場合(例えばHbA1c 6.0%だが、GAでは21.9%と高値)、高齢者の血糖コントロール目標のHbA1c値に合わせて治療を緩めなければならないのかというジレンマがあります。現在のところGA値でのコントロール指標は示されていませんので、早期に策定されることを願っています。なお、現在のところGA、HbA1cの換算式は「HbA1c=GA×0.245+1.73」を使用しています。また、2型糖尿病の場合、原則HbA1cとGAの同月内同時算定はできませんのでご注意ください。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。75歳、男性。25年前に2型糖尿病と診断、20年前より内服治療、10年前よりインスリン治療。1年前より軽度認知症と診断されているが、同居家族のサポートにより1日1回のインスリン治療は継続できている。SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、BG薬、降圧薬を服用。自宅での食事、入浴、排せつ等は問題ないが、買い物や外出での移動に問題あり、下肢筋力の低下が目立つようになってきた。起立時のふらつきも自覚。介護保険では要支援2と認定。【身体所見】身長165cm、体重55kg。血圧110/65mmHg、脈拍80/分、整【検査所見】空腹時血糖値103mg/dL、HbA1c 6.5%、eGFR 58 mL/min/1.73m2、尿糖(-)、尿蛋白(±)、尿ケトン体(-)【合併症】末梢神経障害あり、単純網膜症、腎症2期この患者の治療方針として誤っているのはどれか、2つ選べ。1.HbA1c 7.0%以上8.0%未満を目標とする2.今後、SGLT2阻害薬を中止する3.下肢筋力の低下があり、転倒の危険を考慮してベッド上での安静につとめる4.今後、降圧薬を減量・中止する5.1日の食事摂取量は1440kcal、たんぱく質45gとする臨床糖尿病支援ネットワーク