ブックタイトル会報2022年7月
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会報2022年7月
第229号令和4年7月発行Page 3第65回日本糖尿病学会年次学術集会は5月12日~14日、現地会場および一部プログラムのWeb配信(ライブ配信およびオンデマンド6月1日~30日)というハイブリッド開催で開催されました。コロナ禍で学会の開催方式も変化しましたね。私自身は幼い子供がおり会場参加は難しかったのでとてもありがたいスタイルでした。ライブ配信ではシンポジウム「糖尿病食事療法研究の最前線-現在の課題とこれからの展望-」「これからの医療に求められるCDEJ像-日本糖尿病療養指導士認定機構のサポートはどうあるべきか」オンデマンド配信では「糖尿病のスティグマ」などを聴講しました。今回はシンポジウム「糖尿病のスティグマ」の内容についてご報告したいと思います。スティグマとは属性、特性、障害などが「通常」の人々とは区別され、容認しがたい存在として特徴づけられており、負の烙印や社会的恥辱を意味している。糖尿病は生活習慣病といわれ、自分で自分の運命を変えられる病気というイメージがついている病気。そもそも生活習慣病という概念自体が、スティグマに結び付きやすいのかもしれない。生活習慣病という言葉は健康増進法に記載されており、そこから変えていく必要があるのではないかという議論もされていた。2型糖尿病のスティグマでは、社会から「病者」というラベルを付けられ「自己管理を欠如した者」とみなされる。性格に対する非難(怠けている、だらしがないなど)や能力の否定(受験、就職)、生命保険や住宅ローンなど偏見や差別など否定的な経験に直面している。スティグマの発生源として、マスメディア、職場、友人、家族、医療従事者があげられている。また2型糖尿病をもつ人が性格や能力に対する否定的な経験による自尊感情の低下によるセルフスティグマに医療従事者も関係している。スティグマを乗り越えていくために、糖尿病という病気に対するコントロールや病気のプラス面を知ること、糖尿病治療を通して、新たな自分の価値を見出すために、医療従事者はマイクロアグレッション(悪気はなくても結果として患者を見下げたような恥ずかしい思いをさせる。侮辱的な言動や態度)が入り込まないように注意しながら、糖尿病をもつ人と関わっていかなければならない。医療従事者は言葉の選択も重要である。“糖尿”“糖尿病”は好ましい言葉ではなく、“糖尿病をもつ患者”“糖尿病をもつ人”などが推奨されていた。また“コンプライアンスが悪い”“アドヒアランスが悪い”は好ましくなく、“自己管理が阻害されている”という表現が適切であるようだ。日常の栄養管理業務の中で、糖尿病をもつ方との出会いは多くあります。生活習慣や食生活の聞き取りの中で言葉の使い方や表現にも十分配慮していかなければならないと考えさせられました。セルフスティグマの向上に役立つ医療従事者でありたいなと感じました。[当法人会員]公立昭和病院村田里佳[管理栄養士]読んで単位を獲得しよう答え3,5下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1.〇高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)で、インスリン製剤の使用、患者の特徴・健康状態カテゴリーⅡ(軽度認知症、手段的ADL低下、基本的ADL自立)となりHbA1c7.0%以上8.0%未満を目標とする。2.〇SGLT2阻害薬は老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)がある場合慎重投与。SU薬、インスリンとの併用では特に低血糖など注意が必要、シックデイでは休薬。全身倦怠感・悪心・嘔吐・体重減少ではケトーシスの可能性があり十分注意。休薬を検討する。3.×高齢者糖尿病患者に対し、運動を効果的かつ安全に実施するための運動処方が必要である。4.〇高齢者糖尿病(75歳以上)でも原則140/90mmHg未満を目指し忍容性があれば130/80mmHg未満を目指すが、フレイルの状況では降圧に伴う転倒・骨折に注意を払う。起立時のふらつき出現もあり減薬、休薬を検討する。5.×総エネルギー摂取量の目安は、後期高齢者(75歳以上):[身長(m)] 2×22~25であるが、現体重に基づきフレイルやADL低下など踏まえ適宜判断する。タンパク質摂取量はフレイル発症も考慮し、腎機能低下がない場合は1.0g/kg体重/日以上で指導する。臨床糖尿病支援ネットワーク