ブックタイトル会報2022年9月

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概要

会報2022年9月

Page 2第231号令和4年9月発行第65回日本糖尿病学会年次学術集会令和4年5月12日(木)~14日(土)神戸会場/ライブ配信東京逓信病院松倉彩乃[看護師]第65回日本糖尿病学会年次学術集会が5月12~14日に開催され、Webにて参加いたしましたので報告します。本来であれば現地参加希望でしたが、COVID-19の影響で勤務の都合上神戸まで出向くことができなかったため、Web配信にて参加させていただきました。その中でも私が興味深かったと思う内容を挙げさせていただきます。まず、シンポジウム12「COVID-19から学ぶ糖尿病と感染対策」では、3年目に突入しているCOVID-19の病態から最新の治療方法、糖尿病患者への影響などタイムリーな情報と、災害時の対応についてなど幅広く発表されており大変参考になりました。いつどこで被災するか分からない現在、どう対策したら良いか施設でも具体案を再検討していた所であったため、実際に地震被害を受け、自らも被災しながら糖尿病診療を行った先生のお話を聞き、実際に処方をしたくても薬品名が分からない患者が多いことに困った事例や今後の対策案など発表いただき、糖尿病患者に普段からシックデイ対策や災害時の持ち物を指導しておくことが重要であることを改めて考え、今後参考にさせていただきたいと思いました。今回の学会でもCOVID-19関連の発表が数多くあり、自宅待機による運動療法の中止を余儀なくされた患者の検査データの推移など、私も患者指導をしている上で共感できる項目が多くありました。収束の目途はまだ立ちませんが、その中でも糖尿病患者が安心して療養生活が送ることができ、かつ糖尿病関連合併症悪化予防に取り組めるよう今後も支援していかないとならないと改めて認識できました。次に視聴した上で参考になった内容は、口演101「薬物療法:GLP-1受容体作動薬6」演題4「新たな食嗜好質問票の作成と肥満症患者での評価」です。当施設ではメタボリックシンドローム外来を運営しており、私も生活習慣病改善指導士として栄養士や医師と協働して患者指導を行っているのですが、なかなかうまく減量が進まずドロップアウトしてしまう患者や、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド販売休止により検査データが悪化してしまう患者も多数おり、指導方法や治療についてチームで悩んでいました。この口演発表の施設では、食嗜好質問票を用いて実際に写真と食品内容から、今この食品を食べたいかどうかを記載してもらってカテゴリー分けしていました。患者の嗜好を把握し、糖質・蛋白質・脂質群に分けることで栄養指導でも具体的に食事改善内容を指導しやすく、医師や看護師の指導では運動療法指導として実際に患者が好んで摂取している食品群と消費エネルギー必要量を結びつけることにより、患者もより自身の病状に関心を持ち療養行動に取り組めるのではないかと考えました。セマグルチド導入例として嗜好が変化し甘い糖質や脂質嗜好群が減量する事例もあり、当施設では食事や間食内容は聞いてもこのように質問票を使用しての具体的な話までは把握していなかったため、検査データや体重の推移のみならず、食事の嗜好も把握してよりより指導ができるよう今後の参考にさせていただこうとチームで共有しました。2年近く学会に現地で参加できておらず、近年は恥ずかしながら最新の糖尿病治療薬や機器の情報把握が乏しくなっていました。今回のWeb配信も含めたハイブリッド開催は、時間がある時に興味があるものを好きな時に視聴することができ、いつも聞き逃していた講演も視聴できて便利で大変勉強になりました。ただし、現地参加では普段直接聞くことのできない先生方の貴重な講演や、最新の治療薬や機器の情報収集ができる、滅多に会えない同期との再会や現地の美味しいものが食べられるといったメリットもあります。一刻も早くCOVID-19が収束し、学術集会で糖尿病治療に奮起する皆様と安心して笑顔で再会できる日がくればと日々願っています。臨床糖尿病支援ネットワーク