ブックタイトル会報2022年10月
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会報2022年10月
第232号令和4年10月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですそれでもHPLC法?(HbA1cの測定原理のはなし)[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター浅海隆司[臨床検査技師]こんにちは。私は臨床検査技師です。臨床検査から皆様に何か興味のある話をと考えたのですが、あまり良い考えが浮かばず苦肉の策でA1cの話ならもしかしたら興味があるのではというわずかな期待にかけてお話ししようと思います。そもそもHbA1cとは何でしょう。これは糖化という反応で、タンパク質と糖が出会うとアマドリ化合物という物質ができます。このアマドリ化合物を測定することにより過去においてどのくらいの糖が存在したかを予想する検査です。HbA1cはヘモグロビンの半減期が60日なので1~2か月前の平均的な血糖値を反映する値が出ます。糖化反応は基本的に糖と反応するタンパク質の寿命に左右されます。タンパク質(ヘモグロビン)の寿命が長いと高値、寿命が短いと低値になります。よって、糖尿病以外で高値になるのはヘモグロビンの寿命が伸びる疾患で、低値をとるのはインスリノーマを除けば溶結性貧血とか悪性貧血のようなヘモグロビンの寿命が短くなる疾患です。ちなみにグリコアルブミン(GA)はALBの半減期がおよそ3週間なので1~2週間前の平均的な血糖値を反映する値が出ます。話をHbA1cに戻します。HbA1cの測定法は大きく分けて3種類あります。まずHPLC法これは高速液体クロマトグラフィーの略で、カラムにヘモグロビンを流し電圧をかけると移動度の差で通常のヘモグロビンと糖化したヘモグロビン(A1c)を分けることができます。この面積比よりA1c%を算出しています。しかしヘモグロビンの中には変異ヘモグロビンというものがあり日本人は比較的少ないとされていますが1/3000人位だと言われています。この変異したヘモグロビンは正しい位置に移動しないのでHbA1cの値が測定できません。HPLC法以外では、免疫法(HbA1cに対する抗体を用い抗原抗体反応を利用したもの)と酵素法(2種類の酵素でA1cの部分を切り出す方法)がありますがこちらの方法では変異ヘモグロビンの影響を殆ど受けることがないので基本的に測定に問題はありません。しかし現在の使用比率をみると、HPLC法が7割。免疫・酵素法で3割となっています。大学病院に限って言えば8割以上がHPLC法です。HPLC法は決して悪い方法ではありません。しかし、変異ヘモグロビンのことを考えると免疫・酵素法ももう少し市民権を得られるといいなと思います。あなたの施設は何法かな?今回はHbA1cの話でしたが、その他どんな項目でも疑問があるときはそばにいる検査技師に相談してくださいね。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。56歳、男性。8年前に2型糖尿病と診断され、グリメピリド(SU薬)1回1mg1日1回朝食後、メトホルミン(BG薬)1回500mg1日3回毎食後、リナグリプチン(DPP-4阻害薬)1回5mg1日1回朝食後、ダパグリフロジン(SGLT2阻害薬)1回5mg1日1回朝食後を服用している。今回、腹部エコーで膵臓に腫瘤が疑われた。今後、造影剤を用いたCT検査を行うことになった。なお、検査当日の朝は禁食となる。【身体所見】身長167cm、体重84kg【検査所見】空腹時血糖値144mg/dL、HbA1c 7.1%、eGFR 48mL/min/1.73m 2この患者について正しいのはどれか、1つ選べ。1.低血糖対策は、ブドウ糖でないと効果がない2.内服薬は、CT検査当日の朝からすべて中止し翌日から再開する3.メトホルミンは、この腎機能では慎重投与である4.リナグリプチンは、腎機能に合わせて薬の服用量を変える必要がある5.ダパグリフロジンは、この腎機能では効果がない臨床糖尿病支援ネットワーク