ブックタイトル会報2023年2月

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会報2023年2月

第236号令和5年2月発行Page 1読んで単位を獲得しよう“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です新型コロナウイルス狂騒曲臨床糖尿病支援ネットワーク[当法人理事]吉祥寺・藤田クリニック藤田進彦[医師]2020年1月に始まった新型コロナウイルス狂騒曲は3年経過した今でも終わりが見えません。2020年2月に、乗船者の1人が新型コロナウイルスに感染していたことがわかったダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に停泊しました。乗船者10人の陽性がわかるも、感染者を受け入れる病院が日本にはなく、14日間の船内隔離をする方針になり、船内の悲惨な状況が報道されるたびに、感染症の怖さを知ることになりました。結局712人が感染し、13人が亡くなりました。日本国内での感染者発生の報道を受け、多くの方は外出を控えることになり、さらに政府から「緊急事態宣言」が4月に発出されると、医療機関への受診控えがピークとなりました。その一方で電話診療が増加し、当クリニックでも4月には100件近い電話診療に追われました。糖尿病診療では、処方薬に関しては薬局にお願いできますが、血糖測定物品や消毒綿等は医療機関から渡すことになっておりますので、それらを梱包して宅急便で送付する作業が大変でした。また同時期に発熱外来を開きました。当院が手狭なことから、発熱患者は時間的隔離を行い診察します。昼休みの時間帯や午後診療の終了後に一人ずつ診るのですが、遅くなる時は22時近くまでとなることもあります。当初はワクチンも治療薬もない状況ですから、恐怖を感じながらの診察でした。5月からはPCR検査を開始しました。当初は武蔵野市PCRセンター(医師会会員が当番制で出務)での検査でしたが、8月以降は自院でのPCR検査が可能となりました。2021年8月以降は鼻腔ぬぐい液を検体とした抗原定性検査も併用しております。新型コロナウイルスワクチン個別接種も2021年5月より開始。既存のワクチンと異なるm-RNAワクチンが緊急承認により使用されることとなりました。当初はワクチン接種による感染予防効果が90%以上とされ、当クリニックも一人でも多くの市民が集団免疫を獲得できるよう休日も返上で接種をしました。その後ワクチン効果の継続性がないことがわかり、またウイルス自体が変異しオミクロン株は従来株への中和抗体を回避することから、感染者数はいまだに爆発的に増えています。オミクロン株対応ワクチン接種がはじまっていますが、今後も同様の現象が続くことが予測され、実際5回目接種された方の感染者も少なくありません。従来株のワクチン接種を開始して1年半が経過してもm-RNAワクチンでは集団免疫が実現できていない状況でありますし、長期的な視点から安全性に疑問もあり、今後の対応が必要と思われます。新型コロナウイルス自体は弱毒化して、さほど恐れなくてもよい状況となり、そろそろこのウイルスに寛容になってもよい時期になっているかもしれません。この3年間、患者様は外出を控えることで、筋力低下をきたすだけでなく、周囲との交流が限定され精神的にもつらい状況が継続しています。私もクリニックの滞在時間が増え、運動不足から体重が増えてすっかりメタボになってしまい、自身の健診で指導を受けました。新型コロナウイルスのパンデミックの中で、1型糖尿病発症が増加しているとのニュースがありました。米国など13ヵ国の18歳以下の電子医療記録(EHR)を解析した報告によれば、新型コロナウイルス感染後0.043%が新規に1型糖尿病と診断され、新型コロナウイルス感染症以外の呼吸器感染症患者の1型糖尿病発症率0.025%と比較し72%上昇していたとのことでした。新型コロナウイルス感染による免疫反応が発症に関与すると思われ、今後注意が必要な報告です。1)1) JAMA Netw Open. 2022;5(9):e2233014. doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.33014西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。73歳、男性、1型糖尿病。HbA1c 8.2%。妻、次男夫婦と同居。妻、次男は就業しており、日中は家にいない。介護認定要支援1。超速効型インスリン(朝6単位、昼4単位、夕4単位)、持効型溶解インスリン(就寝前8単位)で血糖コントロールを行っている。現在、インスリンを含め薬の管理は全部本人のみで行っている。「最近物忘れが多くなってきて、降圧薬などの内服薬を飲み忘れることがある。注射も打ったかどうか不安になってしまう。妻から怒りっぽいって言われる」と話している。この患者について誤っているのはどれか、2つ選べ。1.次男の妻にインスリン注射を依頼する2.注射手技が正しいかを確認する3.低血糖の確認は不要である4.日中独居の場合ヘルパー(介護福祉士)にインスリン注射を依頼する5.医師に認知機能の評価を依頼する