ブックタイトル会報2023年3月

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会報2023年3月

第237号令和5年3月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病患者とACP?第8回看護を語る会の開催を通して?[当法人評議員]公立昭和病院松本麻里[看護師]2023年2月4日に第8回看護を語る会がWeb開催された。コロナ禍のなか、約3年ぶりの開催であった。看護を語る会の立ち上げを思い出してみると、そのきっかけは「先人の知」を知るであり、いろんな年代の糖尿病患者に関わる看護師が、膝をつき合わせながら自己の看護観や、患者に対する思いを存分に語り合おう、というものだったと記憶している。患者さんにも参加していただき思いを語っていただいたり、親子で共演し、思いを伝えあったり、振り返ればいろんな試みを形にしてきた。そしてコロナが舞い降り、日本中に外出制限という見えない帳が降り、あっという間に医療者も患者も疲弊してしまったが、大きな8つの波を乗り越えてやっと明るい兆しが見えてきた、そんな矢先の「第8回看護を語る会」であった。定員60名という枠の中、事前参加申し込み者60名、北は北海道から南は九州まで、どこからこの会の存在を知ったの?と聞きたくなるような地域からも参加申し込みがあった。題材は「地域で暮らす糖尿病患者を支えるACP(エンドオブライフケア)」で、基調講演に糖尿病患者のACPシステム構築を実践されている、京都府立医科大学付属病院の肥後直子先生をお迎えした。患者さんとのエピソードを交えた「ACPの考え方、実践、評価の仕方」は大変興味深く、胸を打たれる内容で、この考え方、システムが世に出たら、それぞれの臨床の場での多様な展開が今から期待されるだろうな、と期待が膨らむ内容であった。また、シンポジウムでは訪問看護でのACP、クリニックでのACP、大学病院でのACP、をテーマとし、3人の先生にそれぞれの経験、そして実践されたACPのお話を伺うことができた。「きっとこの3題は、涙無くしては聴けないだろう」と会の前から懸念していたが、やはり、涙腺を大いに刺激されることとなった。その中でも「私は何もしていない。だから(亡くなった患者さんの家族に)ありがとうございましたと言われると、なぜお礼を言われるのかがわからず困惑した」というお話は、患者さんや、患者さんのご家族からしたら「弱っていく患者を抱え、どうすることもできずにいたつらい時間、つらい思いから、一生懸命に仕事の時間も構わず自分たちのために助けてくれた看護師」という存在なのだから「ありがとう」という言葉がでて当然でしょう、と聴講者の誰もが思ったことだろう。また、あるお話は自分の命が終えるその時まで、自分のできることを探し、少しでもそのできることをやり遂げることで、生きていることを実感し、感謝され、静かに生涯を閉じられた患者さんの「これぞACP」というお話など、心に残るお話をたくさん聴講することができた。会そのものはとても盛会だった。糖尿病患者とACPを考えるとき、糖尿病で亡くなる患者さんはほとんどいないが、患者さんとの長年の関りの中で、人生の岐路に立った時に患者さんが自分の考えを持ってその道を選び、自分でいくつかの選択肢がある中から、後悔のないように死を迎えられるよう主体性を持って日々生きられるよう、患者さんの思いを聴いて聴いて、聴く時間が私たち医療者にはあるんだな、これは幸せなことだな、と深く思ったのでここに記す。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。70歳、男性。妻と2人暮らし。15年前に2型糖尿病、10年前に高血圧症と診断された。週3回程度、建築現場で働いている。薬物療法(BG薬、DPP-4阻害薬)を継続し、ここ数年はHbA1c 7.5%から8.5%で経過していた。降圧薬は服用していない。【身体所見】身長170cm、体重75kg、筋肉質。血圧158/70mmHg、脈拍60/分、整。両側前脛骨部浮腫あり、128Hz音叉振動覚(内踝)6秒/5秒、両側アキレス腱反射消失【検査所見】空腹時血糖値160mg/dL、HbA1c 8.7%、血清カリウム3.8 mEq/L、血清クレアチニン1.7 mg/dL、eGFR 40mL/min/1.73m 2、尿糖(?)、尿蛋白(3+)、尿ケトン体(?)、尿蛋白定量6g/日【合併症】網膜症あり、大血管障害の既往なしこの患者について誤っているのはどれか、1つ選べ。1.BG薬の1日最高投与量は750mg/日である2.蛋白制限は75g/日とする3.塩分制限は6g未満/日とする4.少量のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を開始する5.eGFRは低めに評価されている可能性がある臨床糖尿病支援ネットワーク