ブックタイトル会報2023年4月

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会報2023年4月

第238号令和5年4月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですポストのコロナにおける糖尿病療養指導士[当法人業務執行理事]東京医科大学八王子医療センター松下隆哉[医師]新型コロナウイルス感染症の流行により、慢性疾患の診療が困難になり、医療現場は大きな混乱をきたしました。新型コロナウイルス感染症は一段落し、健康診断を受ける方も減少したため、糖尿病の診断遅延や合併症の進行が危惧されます。糖尿病は、長期的な自己管理が必要な慢性疾患であり、治療において患者本人の自己管理が不可欠です。そのため、医師だけでなく糖尿病療養指導士の存在が重要となります。新型コロナウイルス感染症の流行期間中も、糖尿病の持続血糖モニターや薬物療法の進歩はあったものの、その情報が患者に伝わらないケースもあったでしょう。患者自身で血糖値を測定し、食事や運動、薬物治療などの自己管理を行うための指導や支援を行うことができる糖尿病療養指導士の重要性が再認識されると思われます。医療現場では、医師や看護師といった他の医療スタッフと協力して、患者の糖尿病に対するトータルなケアを提供することが求められます。そのためには、糖尿病療養指導士が患者の自己管理や生活習慣のアドバイスを行い、医師や看護師と共に患者の糖尿病治療に取り組むことが不可欠です。さらに、糖尿病療養指導士は、患者さんたちにとって安心感や希望を与える存在でもあります。糖尿病は、治療や自己管理が難しく、患者さんたちにとっては不安やストレスが付きまとう病気です。糖尿病療養指導士が患者さんたちと共に取り組んでいくことが望まれます。糖尿病療養指導士は、医師や看護師と協力し、患者さんたちに必要なサポートを提供することで、糖尿病治療における重要な存在となっています。今後も糖尿病治療に必要不可欠な存在として、専門性の向上や情報収集、地域との連携などを行い、患者さんたちがより良い生活を送れるよう支援していくことが求められます。また、糖尿病は、生活習慣病の一つであり、日々の食生活や運動習慣など、自己管理によって予防が可能な疾患でもあります。糖尿病療養指導士は、糖尿病の予防や早期発見、治療に限らず、健康教育やライフスタイルアドバイスなどの健康増進にも取り組むことができます。地域の医療機関や自治体、企業などと連携し、健康増進の取り組みを行うことで、より広い範囲での健康づくりに貢献することができます。今後も、糖尿病療養指導士は、糖尿病治療の現場で必要不可欠な存在として、患者さんたちが安心して治療に取り組めるよう支援していくことが求められます。糖尿病治療の進歩や社会の変化に合わせ、糖尿病療養指導士の役割も変化していくでしょう。そのためにも、自己啓発を続け、専門性を高め、柔軟な対応力を持って、患者さんたちのニーズに応えていくことが重要ですし、皆様方が活躍しやすいような場を再度、構築していきたいと考えています。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。68歳、男性。罹患歴15年の2型糖尿病。身長168cm、体重75kg。メトホルミンとDPP-4阻害薬を内服中。最近1年間で5kgの体重増加があり、HbA1c 8%台が続いている。主治医から食事療法について再指導の依頼あり、療養指導を実施。一通り面談を終えたところで、患者から以下のような発言があった。「よくわかりました。コロナになってから家にいる時間が多くなって、ついついお菓子や果物を食べるようになっちゃったんだよね。自分のためなんだから、しっかりしなくちゃね。でもさ、本当に厄介な病気だよな、糖尿病ってのは……」患者の心理に寄り添うための療養指導士の応答として誤っているのはどれか、2つ選べ。1.「そんなことないですよ。頑張れば頑張った分、よくなる病気じゃないですか」2.「『厄介な病気』というと?」3.「わかります。皆さんそうおっしゃいますよ」4.「もう少し詳しく聞いてもいいですか?」5.沈黙して患者の言葉を待つ臨床糖尿病支援ネットワーク