ブックタイトル会報2023年5月

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概要

会報2023年5月

第239号令和5年5月発行Page 3第57回糖尿病学の進歩令和5年2月17日(金)~18日(土)東京国際フォーラム[当法人評議員]熊倉医院熊倉淳[医師]令和5年2月17日~18日に第57回糖尿病の進歩が東京国際フォーラムで開催されました。日本の糖尿病学の最新情報が30分という短い時間で次から次へと講義が続くので、知識のシャワーを浴びているように感じました。2022年12月に日本糖尿病学会から発表された2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(コンセンサスステートメント)、病態に応じた薬剤選択(非肥満or肥満)、Additional benefitsを考慮すべき併存疾患の有無による薬剤選択がどのように決まっていったのか詳しく説明されました。日本の一般医科の治療レベルの底上げに貢献するとともに、東アジア人の特性を考慮したコンセンサスであり東アジアの糖尿病治療のメルクマールとなるものであることが分かりました。2023年1月に発表された緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準では、膵島関連自己抗体が陽性であり、糖尿病の診断後3か月を過ぎて内因性インスリン欠乏状態(空腹時血清Cペプチド<0.6ng/ml)であれば(definite)、ただちにインスリン療法が必要とならないものを(probable)とする。1型糖尿病の膵島関連自己抗体において抗GAD抗体の陽性率は80%前後であるが、今後GAD抗体+IA-2抗体+ZnT8抗体をオーバーオールで測定できる3 Screen ICA ELISAキットが準備中であり、1型糖尿病の陽性率が上がってくる可能性がある。また1型糖尿病の高齢化が進んでおりCGMやスマートフォンのアプリなど先進テクノロジーの使用が有用であり個別化された医療と社会的サポートの提供が必要であると説明がありました。食事療法においては超加工品、人工甘味料、果糖が脳中枢に影響して過食となるので特に注意が必要である。運動療法においては運動によって放出されるサイトカインであるExerkineが全身に関与し脂肪肝の改善、骨量増加、膵β細胞の保護作用、認知症の予防、また運動後のLac-Phe増加が食欲を抑制する効果などがある。運動は夕方にしたほうが脂肪肝、インスリン抵抗性は改善しやすい。腸内細菌のバランスがドパミン受容体シグナルを亢進させ運動量を左右する可能性があるので食事療法も合わせて行う必要がある。運動習慣のない人に少しでも運動してもらうには、何をやってもよい、いつやってもよい、やればやるほどよい、ケガしない限り、低血糖を起こさない限りというメッセージを伝えることも重要である。30分以上は座りっぱなしにしない、ちょっときつめのストレッチ、バランス運動をすることも有用である。高度肥満においては食事・運動療法、薬物治療は基本であるが、積極的にスリーブ状胃切除術を勧めていくことやマインドフルネスイーティングを活用する方法の有用であることが分かった。インスリン製剤においては週1回で効果のある超々持効型インスリンやインクレチン製剤においてGIP/GLP1デュアルアゴニストの説明もあり、今後も糖尿病診療は進化し続けることが予見され、まだまだ勉強しなくてはいけないなぁと感じました。絶対に参加した方が良い学会です。読んで単位を獲得しよう答え1,3下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説食事療法は、日々患者さんが実行する事であり、その実行度を高めるためには、自己管理行動を獲得できるよう援助が必要である。患者さんが実行可能な方法を患者さんに合わせて共同で食事計画を立てていく。1.〇2.×毎晩終電で帰宅している生活で、自炊をすることは困難と考えられる。実践が難しいことを押し付けない。3.〇4.×欠食は血糖変動を大きくしてしまうことや、夕食を抜くという無理なことを強いるものではなく、遅い夕食をどのように摂ると良いかを一緒に考えていく。5.×患者さんは糖尿病治療の為だけに生きているわけではなく、患者さんが望まないのに職業を変更するよう医療者が指示するものではない。臨床糖尿病支援ネットワーク