ブックタイトル会報2023年6月

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概要

会報2023年6月

第240号令和5年6月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですチャット君に負けない療養指導を考える[当法人評議員]東京医科大学八王子医療センター深谷祥子[管理栄養士]2022年11月に米国のオープンAI社からリリースされた、会話向け言語モデル「ChatGPT」は、あたかも人間と対話しているような自然な文章でのやりとりができ、大きな話題を呼んでいます。その「ChatGPT」をLINEでできるという「AIチャットくん」を実際に使ってみて、私なりに感じたことを書いてみたいと思います。「AIチャットくん」はLINEユーザであればQRコードを読み取り、お友達登録をするだけで開始できます。1日に5つの質問までは無料でできますが、それ以上行いたい場合は有料登録が必要です。お友達登録すると1話し相手2家事・生活3仕事の3つのテーマへの質問の提案があり、2の「3日分の献立を作ってもらう」を選択しました。3日間の献立と、買い物リストまで出てきたので、次に「糖尿病、1600kcal、塩分6g、魚料理の献立教えて」と入力すると、1日分の献立の他に間食の選び方も書かれ、文の最後には個人差があるので必要に応じて医師や栄養士と相談することをすすめていました。献立名のみで量や作り方、栄養量などの記載がなかったため、「作り方や量が分からない」と入力したら、分量や料理方法を教えてくれました。「糖尿病の食事作るのは面倒だ」と入力したら、気軽に作れるレシピを紹介し、文の最後にはまた専門家への相談を提案していました。「なんで糖尿病なんかになったんだろう辛い」と入力すると、糖尿病になった理由が記載され、正しい食生活を改善することで健康的な食生活を行えるので心配しないでと慰めてまでくれました。個人情報の漏洩や知的財産の保護等の法整備など色々な課題をクリアする必要がありますが、最近は年配の方でもLINEを使いこなしている方も増えてきており、ちょっとしたお悩み解決するツールとしては使いやすいと思いました。ただ、自分の本当に聞きたいポイントに到達するには細かく指示し、回答を得るための質問のコツを掴んでいく必要があります。また、もっともらしく実は誤っている回答を作成することがあるため、正しい知識を持った人がファクトチェックを行う必要があります。回答文章のところどころに専門家への相談を提案しているのは、そういったことに対しての防御策と思われました。「ChatGPT」により情報を提供するだけの療養指導は必要とされない時代が近づいてきています。糖尿病療養指導士として患者さんの得た情報をファクトチェックし、正しい情報を伝達することはもちろんですが、会話の中での患者さんの表情や声のトーンなど注意深く感じ取り、患者さんが本当に望んでいること、そのためにできる力を引き出し、モチベーションを維持できるためのサポートを行うことができれば、AIを恐れずにうまく活用していくことができるのではないかと考えました。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。35歳、女性。罹病期間20年の1型糖尿病。強化インスリン療法継続中。超速効型インスリン毎食直前10単位、持効型インスリン1日1回寝る前10単位、SGLT2阻害薬1日1回朝食後服用している。昨夜から体調がすぐれず、飲水は可能であったが、食事がとれなかった。低血糖を恐れて自己判断で持効型インスリンを中止した。本日朝電話が入り38.5℃の発熱があり、血糖値は300mg/dL、今朝SGLT2阻害薬は服用した、とのことだった。身体所見:身長160cm、体重65kg。この患者への説明として正しいのはどれか、1つ選べ。1.「血糖値を上げるので、炭水化物はとらないでください」2.「SGLT2阻害薬はいつもどおり服用してください」3.「持効型溶解インスリンは今すぐ注射してください」4.「超速効型インスリンは量を半分にして注射してください」5.「診察しないと命にかかわります。今すぐ救急車を呼んでください」臨床糖尿病支援ネットワーク