ブックタイトル会報2023年8月

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概要

会報2023年8月

第242号令和5年8月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です薬剤師とアドボカシー活動[当法人評議員]大和調剤センター森貴幸[薬剤師]近年日本糖尿病学会と日本糖尿病協会においてアドボカシー活動について考えさせられる機会が多くなってきました。薬剤師としてアドボカシー活動を推進するためにスティグマを考えていくことが大切と考えます。そこでまず、アドボカシーとスティグマについておさらいしてみたいと思います。アドボカシー【advocacy】;とは擁護、弁護、支持、主張、唱道、支援運動、弁護士業。スティグマ【stigma】;社会における多数者の側が、自分たちとは異なる特徴をもつ個人や集団に押しつける否定的な評価。身体・性別・人種に関わるもの。と、インターネット辞書で引くと出てきます。アドボカシー活動は支援運動活動であると思います。日本糖尿病学会、日本糖尿病協会合同委員会では、「社会における糖尿病の知識不足、誤ったイメージの拡散により、糖尿病をもつ人は『特定の属性に対して刻まれる負の烙印=スティグマ』(社会的偏見による差別)にさらされています。スティグマを放置すると、糖尿病であることを周囲に隠す→適切な治療の機会損失→重症化→医療費増→社会保障を脅かす、という悪循環に陥り、個から社会全体のレベルまで、様々な影響を及ぼすことになります。」とあります。アドボカシー活動を知って考えてみると、自分自身の体験として1型糖尿病であることで受けたスティグマよりも、医療者であるにも関わらず患者さんに対してスティグマをしてしまっていた事実があることに気が付かされました。医療者であっても誰でもスティグマを理解していないと気が付かないうちにスティグマを起こしている可能性があります。第19回西東京薬剤研修会[2023年度西東京糖尿病療養指導プログラム]ではスティグマの払拭をすべく講演会を開きました。病院薬剤師、薬局薬剤師も他の職種も治療支援を行う際に知らずにスティグマを生み出している可能性があります。臨床糖尿病支援ネットワークでもこれからどんどんアドボカシー活動を支援して、スティグマを払拭して、より患者さんのためになる治療支援を行えるとうれしく思います。薬剤師は日常業務が過酷な中ですが、患者さんの治療目標達成率に少しでも役に立てるような治療支援を行えるように努力していきたいと考えます。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。63歳、女性。罹病期間18年の2型糖尿病。近隣に娘家族が在住。持効型溶解インスリンを1日1回自己注射し、ARBを朝1回内服。スーパーで週4回パート勤務し、自動車で5分の通勤。以前は週3回程度ジムに通っていたが、孫の世話が忙しく運動を中断。最近、孫に手がかからなくなり、運動を再開しなければと思い始めている。合併症:両足部の触覚が鈍麻、運動器の疼痛なし、増殖前網膜症、腎症第3期、6m歩行速度1.0m/s身体所見:身長164cm、体重68kg、血圧153/90mmHg脈拍62拍/分(整)検査所見:空腹時血糖124mg/dL、HbA1c 7.3%、中性脂肪199mg/dL、LDL-C 131mg/dL、HDL-C 41mg/dL、血清Cre 0.92mg/dL、eGFR 45.7mL/分/1.73m 2、尿蛋白(+)、尿中アルブミン306mg/gCrこの患者への運動療法の指導として誤っているのはどれか、1つ選べ。1.自転車で通勤する2.自身の体重を負荷とした下肢のレジスタンス運動を行う3.エアロビクス教室へ参加する4.目標心拍数100拍/分とする速歩を行う5.体幹と下肢のストレッチングを行う臨床糖尿病支援ネットワーク