ブックタイトル会報2023年8月

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概要

会報2023年8月

第242号令和5年8月発行Page 3令和5年5月11日~5月13日、鹿児島県鹿児島市において第66回日本糖尿病学会年次学術集会が開催されました。昨年同様、現地とオンラインによるハイブリッド開催でしたが、オンラインで配信されるものが少なくなりコロナ前の状況に近づきつつあると感じました。[当法人会員]高村内科クリニック寺本由美子[健康運動指導士]私は運動療法に関わるトレーナーをしています。コロナ禍で対面での指導が難しくなりました。今回の学会では、映像媒体を使用した指導についての発表がいくつかあり、運動療法をどのように行っていけばよいのか工夫されていることを感じました。さて、私は一般口演の演者として現地参加をしました。その発表テーマは「当クリニック通院高齢糖尿病患者のサルコペニア分類における終末糖化産物(AGEs)との関連について」です。当院では、65歳以上の通院糖尿病患者に体力測定、体組成測定からのサルコペニア評価とあわせてAGEリーダーによる終末糖化産物(AGEs)の測定を行っています。近年、筋量や筋活動においてAGEsが影響を及ぼすとのことが散見されていることから、サルコペニアを正常、プレサルコペニア、ダイナぺニア、サルコペニアの4つに分類し、AGEsの蓄積量と骨格筋量(SMI)、握力、歩行速度との関連を調査しました。結果、男女共にAGEsが高いと骨格筋量、握力、歩行速度のすべてが低下し、筋肉の量や筋肉の質の低下にAGEsが関与する可能性のあることが示唆されました。また、サルコペニア4分類のうち、筋量維持で筋力低下のダイナぺニアでは、筋量が維持しているにも関わらず、握力や歩行速度が低下していることでADLにも影響を及ぼし、AGEsの蓄積量を高めている可能性が示されました。病院ではこのような測定はなかなかできないとの声もいただき、個人クリニックだからこそ多くの通院患者に対しこのような測定ができるのだと改めて実感しました。今回の発表を基に、どのように運動療法に結びつけていけばいいのか課題も多々ありますが、日々考えながら患者さんに向き合い運動指導をしなくてはならないと思いました。オンライン配信で発表を聴くこともいいのですが、現地参加をし、会場の活気ある雰囲気や実際に発表を聴くことでたくさんの刺激を受け、東京へ戻ってから今まで以上に良い療養指導、良い運動指導をしようと前向きな気持ちになりました。来年はどのような開催形式となるのか気になりますが、どのような形式でもまた勉強させていただけることを楽しみにしております。読んで単位を獲得しよう答え3下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説本症例は複数の合併症を有しており、安全な運動処方が必要である。増殖前網膜症では、眼科的治療を受け安定した場合のみ歩行程度の運動は許可される。腎症3期(A3G3a)では4-5METs程度の運動が望ましいことから、6METsに相当するエアロビクスの実施は誤りとなる。それ以下の運動強度でも、血圧上昇を避けるためバルサルバ型運動は行わないよう指導することが望ましい。臨床糖尿病支援ネットワーク