ブックタイトル会報2023年9月
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会報2023年9月
第243号令和5年9月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味ですマイナンバーカードとオンライン資格確認[当法人理事]中島内科クリニック中島泰[医師]来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針(マイナ保険証)が発表された。一方で、マイナンバーに別人の情報を紐づけているなどのトラブルが頻発し、国民の不安感を払拭するべく、首相自らが対応策を説明する事態となっている。どうやら、保険証廃止時期は延長せず、マイナ保険証を持たない人には「資格確認書」で対応し、当面はその有効期限上限を延長することで問題解決に猶予を与える方向らしい。本年4月から医療機関にオンライン資格確認導入が義務付けられた。助成金や保険点数加算などにより、7月時点で9割の医療機関がカードリーダーの申し込みを終え、東京は病院の82.2%、医科診療所の67.2%で運用が始まっている。しかし、マイナンバーカード交付率は、4月時点で人口の65.10%(東京)にとどまる。年齢別の交付率は、DX(Digital Transformation)の遅れが予想されるような地方や高齢者層の方が高く、あながち悪い傾向ではない。ただし、当院でも実際にカードリーダーを使う方はごくわずかである。むしろ、オンライン資格確認システムにより保険証期限が確認でき、こちらは有用である。先日、WebのJBpressで榎並利博氏がこの騒動を解説されていた。1)すでに国民にはマイナンバーが付与されており、それを用いた身元確認方法としてマイナンバーカードが提供されている。デジタル空間で本人確認をするには電子的な鍵が必要であり、1枚のカードでリアル空間での身元確認が、かつ、ICチップによるデジタル空間での身元確認や当人認証も可能である。日本よりも番号制度が進んでいる諸外国では、逆にオンライン空間での当人認証機能はなく、ICカード化されている国はそれほど多くないという。マイナンバーというすでに施行されている番号制度とカード発行を混同している人もいるようだ。また、マイナポイントで釣るような交付促進、番号は秘密にしないと危険だという誤解、なによりも番号制度に対して適切な説明を欠いたことが、過剰な不信感を招いたように思える。私は、期限切れ保険証やなりすまし防止などにマイナ保険証は有用だとは考えている。しかし、番号と各種情報を紐づける作業が手入力であったり、実際に扱う現場のシステムが非常に不親切である。また、電子証明は省き、リアル空間でのみ身元確認するカードもあればよかったかもしれない。「資格確認書」で保険者に余計な負担をかけるより、マイナンバーよる当人認証の仕組みを周知し、インフラ整備に政府がもっと責任をもつべきだと思う。コロナ禍でも頻発された一時的な制度変更は、本当に現場を混乱させる。マイナ保険証の迷走について、方針決定した以上は軸をぶらさず、堅実なシステム構築がなされることを願う。1)榎並利博, JBpress, 2023/07/29.読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。60歳、男性。会社の健診で血糖値236mg/dL、HbA1c 9.2%を指摘され、妻とともに糖尿病内科を受診した。父親が糖尿病で療養していた。会社まで電車通勤。妻と二人暮らし。食事は妻が作っている。子供はいるが既に独立して、他県に住んでいる。初診時、「父が糖尿病だったので、気にはしていました。健康診断では血糖値はやや高めでしたが、受診を勧められることはありませんでした。父は、薬は飲んでいたようですが、特に食事を制限したり運動したりしている様子もなかったので、もし自分が糖尿病になっても大丈夫だと思っていました。糖尿病については特に調べたりしたことはありません。」との発言があった。診察の結果、まずは食事療法と運動療法で血糖値の改善を図るという指示が医師より出された。身体所見:身長173cm、体重73kgこの患者への初診時の対応として正しいのはどれか、2つ選べ。1.患者と良好な関係を築くために、訴えをよく聴き共感した2.糖尿病についての知識がほとんど無いようだったので、必要な情報を全て提供した3.療養指導に活かすため、糖尿病をどのように受け止めているか確認した4.治療を継続しないと合併症を発症し、失明や透析になってしまうことがあると伝えた5.食事指導は本人にのみ行うことにした臨床糖尿病支援ネットワーク