ブックタイトル会報2023年10月

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概要

会報2023年10月

第244号令和5年10月発行Page“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病療養指導士の重要性?患者・医療者それぞれの立場から?[当法人評議員]立川相互病院長谷部翼[理学療法士]今から約11年前に私は理学療法士免許を取得し、急性期・回復期病院、介護保険領域でリハビリテーションに従事してきました。現在は急性期病院で糖尿病患者さんへの運動指導に身を投じていますが、その志を持ったのは私自身の貴重な経験が関係しております。今回は、会員の皆様へ糖尿病療養指導の重要性について私なりの経験談を共有できればと思い、記憶を遡りながら書き起こしてみました。高校1年生の冬、突然に感冒様症状や口渇・多飲・多尿がエンドレスに襲い、部活動後にはこむら返りを起こし、「これは普通じゃない!」と思い自宅近くのクリニックを受診。HbA1cは14%台と高値、元々痩せ体型でしたが体重は45kg(BMI約15kg/m2!)まで痩せ、医師より1型糖尿病と宣告されました。「糖尿病、何それ?もう一生治らないの?」と絶望や不安・悲しみなど色んな感情を抱き、病気を受け入れられず当時は血糖管理も適当に行っていました(今振り返ると猛省)。そんな自分を変えてくれたのは、CDEJを持つ看護師さんの存在でした。毎月の診察の合間に「体調はどうですか?学校生活は楽しい?」「インスリンポンプの使い心地はどうですか?」などとこまめに接してくれましたが、自らを塞ぎ込んでいた私はその場しのぎでの返事をする程度でした。それでも嫌な顔をせず接し、私が求めた時に必要な指導をしてくださったことで、徐々に病を受け入れ行動変容をするようになりました。これは、石井均先生の著書(病を引き受けられない人々のケア:医学書院)に書かれている『“聞くこと”、“時間をあげること”、“付き合うこと”、“居るだけを肯定できる関係”などは糖尿病治療にとても重要な要素』と重なる部分で、糖尿病という『疾患』だけでなく、『病』《ある人にとって固有の症状や苦痛の体験であり、(中略...)、どう感じ、どう過ごし、どう対処していくかという経験》を持つ人として理解し関わってくれたのではないかと感じています。そんな経験が医療従事者を目指す最大の原点となり、今は患者―医療従事者の双方の立場から療養指導に携わるとともに、糖尿病専門医の先生方、療養指導に携わるコ・メディカルや本法人の世話人の方々と出会い、充実した日々を送っております。療養指導に関わる皆様には、専門職としての知識・経験を伝えることは勿論ですが、患者さんの「表情」や「会話」を感じ取り、“如何に伝えるか”を大切にしてください。当法人としても「この人になら指導してもらいたい」と思われるような療養指導士を育成できるようサポートできればと思います。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。59歳女性。34歳で第1子妊娠時、妊娠糖尿病を指摘され食事指導を受けたが、出産後は医療機関を受診せず。半年前から口渇、多尿、10kgの体重減少、下肢のしびれと疼痛、立ちくらみを認め、当院受診。また、霧視のため眼科を受診し、増殖前糖尿病網膜症を指摘された。飲酒:焼酎2合/日、喫煙:20本/日身体所見:身長152cm、体重42kg、血圧174/82mmHg(臥位)、119/62mmHg(立位)脈拍58拍/分(整)心音・呼吸音異常なし神経学的所見:両下肢のしびれ感・疼痛あり。しゃがみ立ち困難。両側膝蓋腱反射消失、両側アキレス腱反射消失。C128音叉による足関節内踝での振動覚検査は左右とも5秒検査所見:空腹時血糖値259mg/dL、HbA1c 13.0%、尿糖(4+)、尿タンパク(+)、尿ケトン体(-)心電図R-R間隔変動係数(CVR-R) 0.52%問題10この患者への対応について誤っているのはどれか、1つ選べ。1.胸痛などの自覚症状がなくても心血管疾患を含む大血管症の評価を行う2.立ちくらみの予防のため弾性ストッキング着用を勧める3.糖尿病足病変のハイリスク患者でありフットケア指導が必要である4.糖尿病足病変の予防のため禁煙を指導する5.両下肢の筋力低下があるので直ちに運動療法を行うように指導する臨床糖尿病支援ネットワーク