ブックタイトル会報2023年10月
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会報2023年10月
第244号令和5年10月発行Page第10回日本糖尿病協会年次学術集会令和5年7月22日(土)~23日(日)国立京都国際会館さいたま市民医療センター出浦厚子[看護師]今年も猛暑盛りの京都で第10回日本糖尿病協会学術集会が開催されました。現地開催と会期後のオンデマンド配信を合わせたハイブリッド開催であり、私は現地開催に参加させていただきました。2013年に第1回目を開催してから今回で10回目という節目を迎え、本会長であり日本糖尿病協会の理事長でもある清野裕先生から、この間における糖尿病医療の発展やCOVID-19の流行に付随する社会、医療業界の変革といったメッセージがありました。それらの経験に基づく節目の学術集会であり、本会のテーマは「つないだ10年ひろげる10年~チームで学んでゆたかな未来へ~」とされ、これまでの道のりを振り返りつつ、新たな未来を見据えて一歩を踏み出していくことを参加者全員が意識するような内容であったように感じます。また、本会では外国籍の方々も多く見受けられました。国際糖尿病連合西太平洋地区会議2023、第15回アジア糖尿病学会学術集会との同時開催が行われ、海外からの参加者との交流や本邦の糖尿病医療に関する取り組みの発信の場ともなり、本会が国内外の糖尿病医療に携わる方々と交流の場として発展していることに、糖尿病医療に携わる一医療者として感慨深い思いを抱きました。本会においては例年同様、様々なテーマで糖尿病医療についての討議が展開されました。その中で、私は2つのスモールグループディスカッションに参加させていただきました。1つ目は「サポートが必要な高齢者」で、2つ目は「インスリンポンプ利用者」というテーマでした。「サポートが必要な高齢者」ではワールドカフェ方式で展開され、自由な発言や発想をもとに参加者の印象に残った症例に対するSEA(Significant Event Analysis:有意事象分析)を行いました。各グループの参加者も看護師、医師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師など多職種で構成され、各々の専門的視点をも加味しながら高齢者が生活と糖尿病治療を円滑に行っていくためのサポートについて意見を出し合いました。興味深かったことは、その内容として地域の行政や民間のサービスだけでなく、通院時の車の同乗といった患者同士の助け合いやIT(Information Technology)、AI(Artificial Intelligence)を活用したものなど多様な意見が聞けたことでした。「三人寄れば文殊の知恵」というように、自分一人では考えつかないことも他者と交わることで多様な視点に気づくことができると、本ディスカッションを通して改めて感じることができました。2つ目の「インスリンポンプ利用者」では、私も含めた参加者の多くが実際にインスリンポンプを扱う機会が少なく、CGMやカーボカウントといったポンプ療法に関連する基礎的知識から学びたいという方が多い印象でした。限られた時間の中ではありましたが、実際にインスリンポンプの仕組みや設定などをファシリテーターの方に教わりながら参加者自身で行うことができました。またCGMデータの読み解き、生活における血糖管理について患者と共に考えていく、我々療養指導士の役割の重要性を感じました。糖尿病医療が進歩していく中でも、患者の生活と血糖管理を絡めながら身近な支援者として役割を果たしていきたいと思います。今回の学術集会において、例年同様多くの情報と学びを得ることができました。自施設において携わる患者に還元し、また他職種との情報共有にも努めていきたいと考えます。最後に、糖尿病をもつ方々の生活と治療がより向上していくことを願います。読んで単位を獲得しよう答え5下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1:○心筋虚血があっても20~50%は胸痛を訴えない(無症候性心筋虚血)。特に糖尿病性神経障害の強い患者でこの傾向が強い。2:○3:○喫煙あり、糖尿病性神経障害あり、血糖コントロール不十分、視力障害など、足病変のハイリスクである。4:○5:×血糖コントロール不良(空腹時血糖250mg/dL以上)では運動療法は控える。また、自律神経障害があり、心機能に関する評価を運動導入前に行う。増殖前網膜症や増殖網膜症がある場合も急激な運動は控える。臨床糖尿病支援ネットワーク