ブックタイトル会報2023年11月

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概要

会報2023年11月

第245号令和5年11月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です救急救命士による低血糖対応のご紹介[当法人理事]東京都立多摩総合医療センター佐藤文紀[医師]数年前まで、年に数回ですが、救急隊指導医という業務に携わっていました。救急隊指導医は、千代田区大手町と立川市にある東京消防庁災害救急情報センターに常駐し、救急救命士に対する指示、必要な救急処置や専門医療機関の選定などの助言を行います。救急救命士が行う特定行為(表1)の指示・助言も行います。この特定行為の一つに、ブドウ糖投与があります。具体的には、救急要請を受けた救急救命士が現場で意識障害のある患者さんに対して血糖測定(簡易測定器)をし、血糖50mg/dL未満の場合に、静脈路確保(←これも特定行為です)をした上で50%ブドウ糖40mLを緩徐に静注するというものです。「血糖50mg/dL以上の時は?」と思われる方もいるかもしれませんが、その際には救急隊指導医に判断が委ねられます。このブドウ糖投与の特定行為はそれほど頻度が高いわけではありませんが、実際に自分が救急隊指導医をしている時にも何度か経験しました。最近は、DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など、単独では低血糖リスクの低い薬剤が使用されることが多くなってきていると思います。しかし、インスリンをはじめとして、低血糖リスクが低くない薬剤を使用している場合には、患者さんやそのご家族に、低血糖時の対応方法を習得してもらうことは極めて重要です。特に低血糖リスクが高い場合には、ブドウ糖を携帯するだけでなく、グルカゴン点鼻粉末剤も準備しておくのが良いと思います。我々が日々携わる糖尿病診療に、救急隊(救急救命士)もセーフティネットとして関わってくれていることは、是非知っておいていただきたいと思い、今回ご紹介した次第です。表11.医療器具を用いた気道確保2.心肺機能停止状態にある患者への輸液3.心臓機能停止状態にある患者への薬剤(エピネフリン)投与4.低血糖発作患者へのブドウ糖溶液の投与5.心肺機能停止前の患者への静脈路確保と輸液読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。55歳、男性。事務職。3年前から軽度の高血糖を指摘され、体重を減らすよう言われていた。テレワークで自宅にいることが多くなり、間食が増え、運動量が減り、体重が8kg増加。今年の健診で血糖値のさらなる上昇を指摘され、当院を受診。身体所見:身長166cm、体重82kg、血圧146/88mmHg、脈拍76拍/分(整)、下肢浮腫なし検査所見:空腹時血糖値169mg/dL、HbA1c 8.2%、空腹時血中Cペプチド4.5ng/mL、中性脂肪265mg/dL、LDL-C175mg/dL、HDL-C 28mg/dL、血清Cre 0.8mg/dL、尿蛋白(-)、尿ケトン(-)、安静時心電図異常なし合併症:神経障害なし、網膜症なし、腎症1期この患者にまず行うこととして正しいのはどれか、2つ選べ。1.食品交換表の表3から1日12単位を3回に均等に分けて摂取することを指導する2.有酸素運動と軽い筋肉トレーニングを指導する3.ビグアナイド薬を処方する4.インスリン治療を開始する5.生理食塩水を点滴投与する臨床糖尿病支援ネットワーク