ブックタイトル会報2023年12月

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会報2023年12月

第246号令和5年12月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です糖尿病の名称変更「ダイアベティス」に思うところ・・[当法人評議員]埼玉医科大学総合医療センター足立純一郎[医師]先日、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会の合同会見で、糖尿病の新しい呼称として、「ダイアベティス」を提案すると発表がありました。最近、スティグマ、アドボカシーなど患者さんに聞かれてもすぐに答えられないカタカナをよく耳にする機会も多くなり、私なりに考えてみました。この新しい呼称には、現代医療の進歩と社会の変化が背景にあります。治療の進化によって血糖管理が改善し、糖尿病患者も健常者と変わらない生活を送ることができるようになりました。一方、社会には不正確な情報や知識に基づいた誤った偏見が残り、自らに非がないにもかかわらず社会からの負の烙印(スティグマ)を押されます。それぞれの患者さんが不当な評価にさらされることなく、適切なサポートを受け、社会の一員としてその能力を発揮できる環境を目指すべく、日本糖尿病学会・日本糖尿病協会を中心にアドボカシー活動(人権問題や環境問題などで社会的弱者の権利擁護や、主張を代弁することなど)を展開しています。“糖尿病”という病態を正確に表現していない病名が、社会的偏見を助長する要因のひとつとして、今回の提言がなされました。病名の変更がすべての問題を解決するわけではありませんが、病名が持つイメージや偏見が、患者さんたちにとっては大きな負担になることがあります。これを減少させるために病名を変更する動きがあるのは、心から歓迎すべきことだと思います。また、病名変更の先例として、「分裂病」が「統合失調症」という名称に変わったことは記憶に新しいところです。この変更は、患者さんや家族に対する社会的なスティグマを減らす上で、重要な役割を果たしました。また、痴呆症から認知症の名称変更も、1)言葉のイメージとスティグマ、2)医学的精度の向上、3)人間性の尊重、4)国際的な用語の統一、という理由にも基づいて変更が行われました。このように、言葉は時とともに社会の意識や医学の進歩に合わせて変化していくものであり、名称の変更はそれを反映しているのかもしれません。「ダイアベティス」という言葉は、ギリシャ語で「通り過ぎる」とか「サイフォン」という意味があります。糖尿病の英語表記は、“diabetes mellitus”なので、国際的な用語統一という観点からはよいのかもしれません。個人的には「ダイアベティス」よりもう少し良いネーミングがあるような気はしますが・・皆様はいかがお考えでしょうか?読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。15歳、男性。罹病歴7年の1型糖尿病。発症時は母親がインスリン注射を行っていた。小学校高学年から自分でインスリン注射を行うようになった、中学生になってクラブ活動としてサッカーを行うようになり、空腹感が強くなり、食事摂取量が増え、間食も増えた。最近のHbA1cは9.2%である。この患者について誤っているのはどれか、2つ選べ。1.母親がインスリン注射を行うようにする2.クラブ活動を運動部から文化部に変更することを提案する3.血糖コントロールが不安定となる時期である4.個人を尊重して「見守り、待つ」かかわりが必要である5.低血糖と同様に肥満に注意が必要であり。体重計測を定期的に実施する臨床糖尿病支援ネットワーク