ブックタイトル会報2024年2月

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概要

会報2024年2月

第248号令和6年2月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です大震災と災害医療[当法人評議員]川越内科クリニック川越宣明[医師]元日に初詣をし、友人宅に新年の挨拶に伺い、談笑を始めた矢先に携帯電話の緊急警報音がけたたましく鳴り響きました。石川県で震度7の地震、2011年3月11日の東日本大震災の記憶が走馬灯のように思い出され、背筋に寒さが走りました。私は2013年10月に縁あって東京に転居しましたが、東日本大震災の時は栃木県の大学病院勤務でした。地震の発生した14時46分は、エコーガイド下甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞診検査のタイミングでした。ちょうど腫瘍穿刺の準備していた時で未曽有の大地震に遭遇しました。ドーン!という足元からの衝撃で立っていられない程の揺れ、電子カルテは全て画面が消え、“これは死ぬかもしれない”と死を予感した瞬間でした。病院廊下の壁は亀裂が走り、天井の蛍光灯は落ちかけておりました。検査は困難であり、患者さんには帰宅していただきました。自身が帰宅する際も街一帯が停電し、道路では電柱が折れ倒れておりました。コンビニやスーパーは軒並み閉店、開いている店でも食糧や飲み物は全て無くなっておりました。私のマンションも停電し、エレベーターは使えずトイレはモーターが動かずタンクに水をつぎたしてかろうじて流すことで使用しておりました。この時、糖尿病患者さん達の投薬は十分足りているか?食糧不足が続いた場合、低血糖リスクや脱水などどうなるのか?トイレの使用が上手くいかず衛生面や感染症リスクは?等々、問題が次々と想定されました。当法人の“糖尿病災害時サバイバルマニュアル”のようなものがあれば良かったのですが、当時私の周囲ではマニュアル作成はされておらず、医師一人一人の裁量に任されている状況でした。現在診療時に、災害に備え必ず処方のストックを数日~1週間程度は持っておくこと、糖尿病手帳やお薬手帳も一緒に準備しておく、基本インスリン注射は中断しない、水分補給を心がける、シックデイなど体調不良時は我慢しないで周囲に伝える等々を患者さんにお伝えするようしております。2024年1月8日現在、能登半島地震被害の全容は不明で、死者も168人と増え続けている状況にあり、医療体制ひっ迫が予想される状況にあります。東京も大地震が必ず来ると言われ続けております。やはり一人一人が十分に備え、医療体制もひっ迫しないよう少しでも備えておくことが重要であることを強く再認識させられる新年となりました。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LChttps://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10259184885DE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。問題●次の文章を読んで以下の質問に答えてください。72歳、男性。独居。罹病期間16年の2型糖尿病。3年前に心筋梗塞の治療歴あり。几帳面な性格で、食事療法にも真面目に取り組み、グリクラジド(SU薬)20mgの服用も忘れたことがない。半年前に妻が亡くなってから、自身で食事の準備を行っているため食事の時間や内容が不規則になった。妻と日課にしていた散歩の機会も減っている。以前より転びやすくなり、外出も控えるようになった。最近、冷や汗やめまいを起こすことが増えている。不規則な食生活と活動量低下に起因した血糖コントロール悪化として、最近エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬)10mgが追加された。身体所見:身長165cm、体重49.2kg、血圧152/94mmHg、脈拍72拍/分(整)検査所見:空腹時血糖値182mg/dL、HbA1c 7.2%、中性脂肪288mg/dL、LDL-C 132mg/dL、HDL-C 32mg/dL、血清Cre 0.78mg/dL、eGFR 74.9mL/分/1.73m2、尿タンパク(-)、尿ケトン(-)この患者に関して誤っているのはどれか、2つ選べ。1.SGLT2阻害薬の良い適応である2.低血糖のリスクがあることを指導する3.水分を適度に摂ることを指導する4.シックデイ時でも休薬しないように指導する5.栄養指導にて再度、食生活状況を確認する臨床糖尿病支援ネットワーク