ブックタイトル会報2024年3月
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会報2024年3月
第249号令和6年3月発行Page 3第61回日本糖尿病学会関東甲信越地方会令和6年1月20日(土)パシフィコ横浜[当法人理事]東京都立多摩総合医療センター辻野元祥[医師]第61回関東甲信越地方会は埼玉医科大学の島田朗会長の下、1月20日、パシフィコ横浜で開催されました。学会のテーマは時代を反映し、「糖尿病の多様性にどう対処するか」が掲げられました。また、島田先生がライフワークとなさってきた「1型糖尿病」も重要なテーマとなりました。シンポジウム1は、「1型糖尿病の多様性?病態に着目して?」のタイトルで、今川彰久先生から劇症1型糖尿病、及川洋一先生からKetosis-prone type2 diabetes(KPD)、川﨑英二先生から緩徐進行1型糖尿病、菊池透先生から小児・思春期1型糖尿病について、それぞれ講演がありました。KPDは発症時はケトーシスを呈し、インスリン治療開始後、離脱となるものの、その後も度々ケトーシスを繰り返す疾患概念です。アフリカ系人種に特有と考えられていましたが、わが国でもKPDの症例報告が散見され、一部の症例では、1型糖尿病と同様の免疫学的機序が関わっているそうです。緩徐進行1型糖尿病の診断基準は昨年、2023年に改訂され、インスリン依存状態に移行するものを(difinite)、インスリン非依存状態にとどまるものを、(probable)、とそれぞれ区分するようになりました。また、以前のGAD抗体RIA法陽性であった症例でも、現行のELISA法で陰性であれば、進行リスクは低いため、前者ではELISA法による再評価が推奨されます。シンポジウム2では、「私たちのダイバーシティ」のタイトルで、1型糖尿病をもつ医療者の先生方からのご発表がありました。患者の立場として経験するスティグマは想定以上のものがあることをお示しになりました。糖尿病関連の医療従事者ではそのようなことはないと信じますが、糖尿病以外の医療従事者がスティグマの根源となりうることに対して、アドボカシー活動を怠ってはならないという思いを新たにしました。シンポジウム4では、「今こそ考える、1型糖尿病における災害対策」のタイトルで、獨協医科大学の薄井勲先生と辻野が座長を担当し、藤原幾磨先生、宮川高一先生、八幡和明先生から、ご経験、あるいは直面されてきたこれまでの災害から、今後、考えていかなければならない1型糖尿病患者さんにおける災害対策についてご講演いただきました。3人の演者の先生が異口同音にお話しされたのは、普段から患者さんに災害対策を伝えるための手段について、また、実際に発災した時に、どのように必要な情報をリアルタイムに伝えるか、が重要という点です。そのためには、個人情報を保護した上で、SNSをどのように活用していくかを議論する必要がある、とのご指摘をいただきました。医療機関ごと、地域ごと、あるいは学会レベルで整備していくのか、今後、検討すべき点と思われます。読んで単位を獲得しよう答え5下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説糖尿病性ケトアシドーシスはインスリンの作用不足により糖利用の低下が起こり、脂質分解亢進に起因したケトン体の産生と高血糖状態で、意識障害を起こす。検査結果からpH低値でアシデミア、HCO3-低値・アニオンギャップ高値から代謝性アシドーシスで、この際に起こる代償性のクスマウル呼吸もみられている。著明な高血糖、尿中ケトン体強陽性でケトアシドーシスと判断できる。乳酸アシドーシスは糖代謝に酸素需要が追いつかず、嫌気性解糖に伴い乳酸値が高くなった状態を示すが、乳酸は基準値内であり否定。高浸透圧高血糖では脱水を伴うことが多く血糖値は異常高値であることが多いが、高度のアシドーシスとなることは少ない。急性膵炎の診断は1急性腹痛発作2膵酵素(リパーゼやアミラーゼ)の上昇3超音波やCT、MRIなどでの異常所見の2項目以上が認められた場合。副腎不全では低血糖や低Na血症、高K血症、低コレステロール血症となることが多い。臨床糖尿病支援ネットワーク