ブックタイトル会報2024年4月

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会報2024年4月

Page 2報告第250号令和6年4月発行平成29年度西東京糖尿病療養指導プログラム日時:令和5日年時12:月平9成日29(土年)7月9日(日)第24回西東京糖尿病心理と医療研究会場所:国立市場商所業:駒協沢同女組子合大さくらホール学[当法人理事]朝比奈クリニック朝比奈崇介[医師]去る令和5年12月9日(土)に国立のさくらホールにて第24回西東京糖尿病心理と医療研究会を開催しました。令和元年10月に三鷹産業プラザで開催して以来、コロナによる感染を予防するために4年間開催されていませんでした。途中Web開催する案もあったのですが、症例検討をするには意見を醸造する場の雰囲気が必要と思い、こだわった上での現地開催でした。第一部:ワークショップ「体験!糖尿病医療学的事例検討?事例検討をはじめよう?」では天理よろづ相談所病院白川分院内科北谷真子先生にファシリテーターになっていただき、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院看護師竹内麻衣先生に「針恐怖症の1型糖尿病患者とのかかわり」という症例提示をしていただきました。そしてこの症例を通して第二部:特別講演「否定的な感情の奥にあるもの」という講演を京都先端科学大学人文学部心理学科教授田中史子先生にお話しいただきました。今回の竹内先生の症例はタイトルには針恐怖症とあるのですが、針恐怖に限らず、全般性不安障害、強迫症状、うつ病などを抱えた患者さんが夫や子供との関係、コロナ環境下での生活を送る上で様々に悩みながら生きている患者様がずっと竹内先生に外来で訴えをしていく。竹内先生はそれを延々と聞いてはいるものの、これでいいのか、これをどのようにすべきなのかとのご発表でした。これに対して、会場に参加された方々の間で、こんなに継続して訴えを聞いていくことの大切さ、一定の方向性を持たなくていいのでは?などとの意見が相次ぎました。これを受けて田中先生は、この患者さんの訴えは患者さんの中のことか外のことか訴えの中心の輪郭がはっきりしない、このような症例では不安に対して介入ではなくてcontainする(受け止める)ことが必要である、またこの様な状態では俯瞰すること、見立てをすることも大切であることを述べてくださいました。第二部は田中先生より「否定的(Negative)な感情の奥にあるもの」というタイトルでご講演いただきました。この人は何を言いたいのだろう?この人の生きづらさの根っこにあるものは何?という大元の探索の方法には、1意識的な嘘でなかったとしても、微妙な感情、迷い、揺らぎは言葉にすると抜け落ち、言葉は表面上の意味だけではない。Negativeな言葉の奥にあるものを推測すること。2フロイトが提唱した転移の臨床心理学的理解をすること。転移とは患者が過去に生じた感情を、今、目の前にいる人間に向けてくることで過去の体験を知る手がかりになる。保護犬の反応の仕方で感情転移の例を示された。3対応としては共感的に傾聴すること医療側にある「投影」(自分の困難を押しつける)「同一化」(患者のようにしんどくなる)「防御」(問題に触れることから避ける)などをしていないか注意すること。それでも「共感しなければ」「受容しなければ」という気持ちを医療者はもちがちで逆転移をゼロにはできない。4患者さんの抱え方に関心を払う。内省できない、抱える器がないために周囲に振りまくなど否定的な感情を自分で抱えておく能力の弱い人は自分の内側の否定的な感情が周囲から責められているかのように感じる。これが過度なおびえ、周囲への怒りにつながる。こうした人を医療者はどう抱えるか。言葉の表面的な受容では終わらず、共感的理解による見立てを行うことがポイントである、とお話しいただきました。また来年の秋にも糖尿病医療学的検討会を中心に据えた第25回心理の会が開催されることになりました。またその時にも今回のような大勢の参加者と共に、白熱した議論を行いたいと思います。臨床糖尿病支援ネットワーク