ブックタイトル会報2024年4月

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会報2024年4月

Page 4第250号令和6年4月発行第27回日本病態栄養学会年次学術集会令和6年1月26日(金)~28日(日)国立京都国際会館[当法人会員]杏林大学医学部付属病院渡部みずき[管理栄養士]第27回病態栄養学会年次学術集会が令和6年1月26日~28日国立京都国際会館で開催されました。前回に引き続き今回も現地開催・オンデマンド配信(2月2日~26日)での開催となりました。今回のテーマは「サステナブルな栄養管理を目指して!」ということで、病態別の栄養だけでなく、持続可能な給食管理や栄養士のキャリアパス、企業で働く栄養士の発表など、幅広いテーマ設定で、配信期間では見きれないくらいの興味深い内容でした。コントラバシー「食事の食べ方」は「食べる順番」か、「食材」か、というテーマでした。「食事の食べ方」ではキャベツ半玉を15分前に食べると、ごはんを15分前に食べるより血糖値が上がらない。定食スタイルの病院食では、おかずを先に食べて5分経ってからごはんを食べると血糖上昇抑制効果があった。「1牛丼」「2牛皿→ごはん」「3サラダ→牛丼」で比較すると、3は1と大きく変わらないが、2は血糖上昇が抑制されたなど、どのような順番が血糖上昇抑制に効果があるか発表がありました。また野菜から食べるとインクレチンに変化はなく、たんぱく質から食べるとインクレチンが上昇し、飽和・一価不飽和脂肪酸では多価不飽和脂肪酸よりGIPの分泌が増える。野菜を先に食べると糖の吸収抑制を介して、魚や肉を先に食べると胃排出時間の延長を介し食後血糖上昇が抑制される、という仕組みについての説明がありました。「食材」では食物繊維は空腹時のGLP-1を上昇させ空腹時の血糖が下がる効果がある。食物繊維摂取には野菜よりも主食を麦ごはんにすることがすすめられていました。実際の栄養指導では「食べる順番」が患者さんの負担にもならず取り入れやすい印象でした。合同パネルディスカッション「個別化栄養療法の確立にむけて」では、食べる瞑想(マインドフル・イーティング)という概念の紹介がありました。「ながら食べ」ではなく、食材の色・形・香り・食感・味・喉ごしなどに丁寧に意識をむけながら食事をすることで食べることに集中し、過食を防ぐ効果があるということでした。実際には毎食キャベツ半玉を食べることや15分あけることは難しいですが、病院食程度の野菜を食べ5分あければ効果はあるようなので、食べる瞑想の考えを取り入れて、食材が今自分の目の前に料理として提供されるまでのことを考えたり、味や香りなどを丁寧に感じることでゆっくり食べることにつながり、血糖上昇抑制効果や、フードロス削減を通じて持続可能な栄養管理にもなるかと思いました。また教育講演「栄養指導に活かせる運動療法」では、ラジオ体操第一より第二の方が運動量が多く、入院中に行うことで筋力低下を防ぐことができた、という発表がありました。新型コロナウイルスの流行後はオンデマンドでの参加となり、会場の雰囲気を感じたり、京都の街並みを散策したりすることができていませんが、次回は久しぶりに現地参加ができるといいなと思います。読んで単位を獲得しよう答え2下記の解説をよく読みましょう。(問題は1ページにあります。)解説1:×換気性閾値(VT)とは、呼気ガス測定で運動時の呼気CO2が上昇し始めるポイントを意味し、AT(有酸素運動から無酸素運動の変換点)を求める際に使われる。2:◯無酸素性作業閾値(AT)は全身持久力の指標であり、運動トレーニングを積んだ方ではATが高くなる。3:×安静空腹時は遊離脂肪酸、有酸素運動では糖質と遊離脂肪酸、無酸素運動では糖質のみが利用される。4:×無酸素性作業閾値(AT)以上は酸素を必要としないが、AT未満ではエネルギー産生に酸素を必要とする。5:×インスリン非依存性の糖取り込みは、運動による筋収縮で促進される。臨床糖尿病支援ネットワーク