ブックタイトル会報2024年8月
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会報2024年8月
Page 2第254号令和6年8月発行第67回日本糖尿病学会年次学術集会令和6年5月17日(金)~19日(日)東京国際フォーラム[当法人会員]多摩センタークリニックみらい古賀恵美[看護師]第67回日本糖尿病学会年次学術集会が令和6年5月17日~19日の3日間、6年ぶりに東京で開催されました。今年のテーマは【「糖尿病」のない世界を目指して~糖尿病学の挑戦~】。日曜日を含む開催は今年が初めてですが、会場には多くの参加者が訪れました。会場には《インスリン治療の歴史》の展示コーナーがあり、注射器や注射針がどのように進化してきたか、そしてそれによって恐怖心や煩わしさがどれほど軽減し、簡便になったのかを知ることができました。会長特別企画として、『糖尿病とともに生活する人々の声をきく』という趣旨のアンケート結果が展示されていました。患者さんの生の声をきく、「参加して共感できる」シンポジウムも開催されていたようです。参加できなかった分、アンケート内容はじっくり読ませていただきましたが、読み進めるにつれてシンポジウムに参加したかったという思いが強くなりました。アンケートの中でも「インスリンを打っていても普通の生活はできません。」という医療者へ向けたメッセージが特に印象に残っています。「インスリンを打っていたら普通の生活ができる」は患者を励ますものではないという患者の声でした。1型糖尿病患者さんは生涯インスリン注射が必要になるため、少しでも気持ちの負担を和らげたいとの思いから発したことのある言葉ですが、患者さんにとっては違っていたのだということに気づかされました。「普通の人は毎日注射や医療機器を身につけていません。この言葉は患者を励ますものではない」とのことです。今回の口演の中でも「スティグマ・アドボカシー」についてのセッションがあり、患者の理想とする患者像と医療者側が抱く患者像との違いからスティグマが生まれるとありました。糖尿病のスティグマには1社会的スティグマ2乖離的スティグマ3自己スティグマ4経済的スティグマ5予期的スティグマに分類され、これらの糖尿病患者をとりまくスティグマの悪影響を認識し、取り除くことで糖尿病であることを隠さずにいられる社会になる。また2乖離的スティグマは医療従事者から受けやすいスティグマであり、医療従事者側の努力でなくすことができる。医療者側の理想的患者像を作り上げず、患者にスティグマを付与しないようにかかわることが大事で、患者のあるべき姿を目標とせず、患者個々にあった医療をするべきとのことでした。普段の療養の中で、HbA1cが高いと、生活状況を聞いたり、食べたものを聞いたりしていますが、私たち医療従事者の聞き方によっては、責められている・否定されている・私がダメだったのかと患者が受け取ることもあり、同じ言葉をかけられてもその人の性格やその時々の状況で受け止め方は違ってくるため、慎重に言葉を選び、関わっていかなければいけないとあらためて考える機会となりました。また、経済的スティグマは、医療費の問題が治療選択に大きな影響を与えています。1型糖尿患者はインスリンを欠かすことはできません。しかし医療費が高くなるため、インスリンの回数を減らしたり、インスリンポンプにしたくても医療費問題でできないなどの制限がかかってしまいます。この発表をしていたのは医療事務の方で、診察も終わり最後の会計の際、患者さんの医療費に関する本音が聞くことができるとのことでした。この発表を聞き、改めて糖尿病診療では多職種の方が関わっている、チーム医療であることを実感しました。医療・技術・機器類が進化しても、平等な医療が受けられていない現状で、現在スティグマをなくすためのアドボカシー活動が積極的に進められているとのことでした。学会に参加し、インスリンポンプやDexcomG7・リブレ2などのQOL拡大をサポートできる最新の治療や最新の情報を提供できるように、また平等な医療が受けられ、自ら治療を選択できるように、知識を向上させ、進化する医療についていけるよう頑張ろうと思いました。本学会テーマのように、『糖尿病のない世界』が訪れることを願います。臨床糖尿病支援ネットワーク