ブックタイトル会報2024年9月
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会報2024年9月
第255号令和6年9月発行Page 1“mano a mano”とはスペイン語で“手から手へ”という意味です「糖尿病は誰でもみれる。でも誰もきちんと診れていない」[当法人評議員]八王子糖尿病内科クリニック山本直之[医師]私は専門医として糖尿病内科を標榜し開業していますが、きっかけは腎臓に興味を持ち、腎内分泌代謝内科という3領域にまたがる科に入局したことでした。入局当時は、腎症をはじめとする重い合併症を抱えた患者さんが多く、血糖コントロール目的で繰り返し入院される方もおり、毎週のようにケトアシドーシスや低血糖の方が救急搬送され、透析導入まで見届けることも経験しました。高血糖に対しては入院加療および強化インスリン療法が最強かつ唯一の治療の選択肢でした。インスリンを日々調整して血糖が下がることに興味を持ち、糖尿病の治療の目標は血糖コントロール!と信じて疑わない時期がありました。今思えばそんな浅い考えでは、患者さんの血糖値を「見る」ことができても、「診る」ことはできず、コントロールがうまくいかないケースでは、指示に従ってくれない患者さんのせいにしたり喧嘩したりとまるで現実逃避をしていました。その後糖尿病専門医に合格した時に、喜んでくれるかな?と軽い気持ちで当時のボスに報告に行った時に、それらは全て打ち砕かれました。ボスはねぎらいの言葉をかけてくれるでもなく「糖尿病ってさ、誰でもみれるんだよ。」と言いました。えっ?せっかく専門医を取ったのに?と思い固まっていると、「でも誰もきちんと診れていない。」「モグリになるなよ。」と言われ、言葉を失ってしまい、とてもショックを受けたことを今でも覚えています。その後2009年に八王子に赴任以降、当法人の先生方と交流を持つ中で、血糖コントロールだけではない糖尿病治療の多様性に気づかされ、自分の治療法も主流ではないことをひどく痛感しました。世の中では糖尿病の薬物治療は大きく様変わりし、持効型インスリンの発売後、1型糖尿病の低血糖は減り、DPP-4阻害薬の登場により、2型糖尿病の血糖コントロールは改善し入院は著明に減少しました。さらにSGLT-2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の登場により、血糖のみならず体重減少効果も期待できるようになりました。今年初頭に出たインスリンポンプは安全に持続血糖モニタリングとともに使うことができれば、ほぼ低血糖なく良好な血糖コントロールを得ることが可能です。つまり治療の進化とは、専門医でなくともその薬やツールが必要十分使うことができれば、ある程度の結果が患者さんにもたらされることを意味します。では糖尿病専門医として、それらを適切な時期に用いることができるのは当然として、さらにどのような価値を患者さんにもたらすことができるのでしょうか。合併症の出現や進行がなく健康寿命が延びると、加齢による認知機能低下、心疾患や悪性腫瘍の存在にも気を配る必要があり、心理面ももちろん重要になります。この道に入って20年が経過しようとしていますが、終わりなき世界がどんどん広がっていきます。患者さんに害を与えないことを一義とし、一介の開業医としてモグリにならないように日々研鑽を積んでいきたいと考えています。読んで単位を獲得しよう西東京糖尿病療養指導士(LCDE)は、更新のために5年間において50単位を取得する必要があります。本法人会員は、会報「MANOaMANO」の本問題及び解答を読解された事を自己研修と見做し、1年につき2単位(5年間で10単位)を獲得できます。毎月、自分の知識を見直し、日々の療養指導にお役立てください。(「問題」は、過去のLCDE認定試験に出題されたものより選出、一部改変しております。)問題糖尿病性腎症の食事療法について正しいのはどれか、2つ選べ。(答えは3ページにあります)1.カリウムは腎症第2期から軽度制限とする2.高血圧合併や顕性腎症の場合は、1日6 g未満の塩分制限が推奨される3.末期腎不全への進展リスクが高い症例では、低たんぱく質食(0.6~0.8 g/kg目標体重/日)を検討してもよい4.腎症第3期でたんぱく質制限食を実施する際は、第2期よりも小さいエネルギー係数を考慮する5.腎症第5期では、第4期に比べて、たんぱく質制限は厳しくなる臨床糖尿病支援ネットワーク