一般社団法人 臨床糖尿病支援ネットワーク
代表理事 近藤 琢磨
インスリンが発見されてから100年以上が経ち、薬を含めた新しい治療方法が登場してきたことで、喜ばしいことに今では糖尿病のある方が長生きできる時代となってきました。しかしながら、糖尿病患者さんやその周囲を取り巻く状況に鑑みて、まだまだ解決すべき問題を多く抱えています。我が国では、類を見ないほど急速に高齢糖尿病患者さんが増加し、在宅の患者さんに対する治療や介護の支援は喫緊の課題となっています。
このようななか、貴田岡正史先生の後を継ぎ、本法人の代表理事を仰せつかりました。ご挨拶の前に、これまでの歩みをご紹介させていただきます。
本法人の活動は1980年前半、当時はまだ珍しかった糖尿病の診療を専門としていた地域の実地医家が中心となり糖尿病の症例検討会を開始したのが始まりです。このような症例検討会が自然発生的に幾つか立ち上がりそれぞれが独自に活動を行っていました。1986年 には、この様な活動を担っていたメンバーが世話人となり、日本における医療連携を目指す会の先駆けとして活動を始めました。
実りある糖尿病対策を実施するためには、限りある資源を効率よく活用できる糖尿病医療連携システムの構築とともに、それを円滑に運営することが可能な人材の確保が必須です。糖尿病診療は、患者さんやそのご家族、糖尿病専門医のみならず他の専門的アプローチのできる医師、各職種の専門性を活かしたメディカルスタッフの協力で初めて成り立つことから、地域全体のメディカルスタッフの体系的スキルアップが必要不可欠となります。
以上の理由から私どもの活動は多岐にわたり、各種研修会の開催、糖尿病教育ビデオの制作等様々な事業を行ってきました。また、1999年度より西東京糖尿病療養指導士(西東京LCDE:Local Certified Diabetes Educator)の研修・認定事業を立ち上げ、糖尿病学習に関わる医療スタッフの育成・技能向上を通じて、糖尿病地域医療システムの拡充を図っています。こうして本法人の活動は発展を重ね、現在では①糖尿病に関する研修会、②糖尿病学習に関わる専門家(CDE)育成、③糖尿病に関する普及啓発の3つを軸として活動しております。さらに、高齢糖尿病患者数の増加に伴い、介護福祉関連職種との連携も今後益々重要となるため、介護関連職の方々との連携、さらにはその教育研修にも注力しています。
諸先輩方の長年の活動を通じて糖尿病に携わる多くの医師やCDEを輩出し、西東京地域での糖尿病医療連携の基盤を固めてきたことに対し深く感謝するとともに、これからも皆さまのご協力・ご尽力をもとに、本法人での活動の維持、発展に努め、さらには地域の方々の健康維持・増進に寄与して参りたいと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。